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米大統領選の最終コーナー【フィスコ・コラム】

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11月3日の米大統領選まで、残り1カ月あまり。再選を目指すトランプ氏はリードを許した対立候補への巻き返しを図り、中東政策では驚きの急展開もみられます。露骨なまでに公約実現を急いでいますが、国際金融市場にはどのような影響があるでしょうか。


メディアによる直近の支持率調査で、民主党候補のバイデン前副大統領がトランプ大統領を上回る状態が続いています。別の調査でも重要州のなかでバイデン氏優勢が示され、トランプ氏はやや劣勢に立たされているもようです。もちろん、こうした情勢調査は必ずしも正確とは言えず、投票終了までもつれ込むとみられ、両候補の追い込みに向けての言動が明暗を分けるのは間違いありません。


ここへきて、トランプ氏の現職の強みを生かしたパフォーマンスが目立ちます。例えば、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンの両国とイスラエルは9月15日、ホワイトハウスで国交正常化に向け合意文書に署名しました。トランプ氏は自身の仲介役としての功績をアピール。こうしたイスラエル重視の中東政策を進めるのは、パレスチナの立場を考慮する民主党とは正反対の路線に布石を打つ狙いが読み取れます。


対イラン政策もそうです。イランの核合意を受けオバマ前政権主導で解除された国連の制裁を、トランプ氏はここへきて復活させたと宣言。前回2016年の公約でもあるイランへの圧力をアピールしようと、関係国の批判をよそにアメリカは単独行動に出ました。ただ、国連安全保障理事会の多くは、アメリカは核合意からすでに離脱しているため無効と主張し、より平和的な解決を求めています。


トランプ氏は2期目の公約にもすでに着手し始めています。新型コロナウイルスのワクチンに関しては、ファイザー製が数週間以内に初承認される可能性に言及。一方、バイデン氏は厳格な安全基準を満たした場合のみ承認されるべきで、大統領選前に使用されるべきではないとの持論を展開しています。ワクチン開発が政治問題化されるなか、トランプ氏はなかば既成事実化を進めていると言えそうです。


今後は9月29日(オハイオ州)と10月15日(フロリダ州)に予定される2回の候補者討論会が注目されます。テレビの申し子のようなトランプ氏にとっては、バイデン氏を言い負かすことで有利な状況を作りやすいでしょう。対するバイデン氏は、トランプ氏の不誠実さを強調するかもしれません。泥仕合は避けられないものの、有権者全体の3割弱とみられる無党派層を取り込むにはどちらも負けられません。


金融市場は波乱を嫌う性格上、現時点でトランプ勝利を望んでいるように思えます。が、政権交代に備えてバイデン氏の言動も注視しています。もっとも、大接戦が見込まれるだけに両候補によるパフォーマンスにベットするのは危険で、取引の大きな材料になりにくいのは言うまでもありません。


※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。


(吉池 威)

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