マネーボイス メニュー

米国株式市場見通し:追加経済救済策の行方やFOMC議事録に注目

引き続き追加経済救済策の行方を睨む展開となる。ペロシ下院議長は特に航空業界支援での合意を示唆し、与野党が何らかの支援で合意に達するとの期待が買い材料になる。また、第4四半期入ったことで株式相場への新たな投資資金流入も予想されるほか、民主党大統領候補のバイデン氏勝利による経済的な影響への脅威が緩和しつつあることも下支え要因になりそうだ。同氏が掲げている増税や規制強化が金融市場にとってマイナスの影響と当初は警戒されていたものの、関税の撤廃やインフラの加速が相殺するとの見方が強まりつつある。また、大統領選挙の結果にかかわらず、金融や財政の力強い支援に加えて、新型ウイルスのワクチンや治療薬の開発がさらに進み、経済活動が一段と正常に近づくとの期待も高まっている。一部悲観的だったアナリストなども押し目買いを推奨し始めたようだ。

ただ、例年10月相場の変動率は高く乱高下が予想される。特に、大統領選挙の年の10月相場は選挙を控えた調整売りが優勢となる傾向があることは念頭に置くべきだろう。連邦準備制度理事会(FRB)は主要銀に対する自社株買い、配当制限措置を年末まで延長することを発表しており、銀行株の上昇も抑制されそうだ。また、世論調査の結果を受けてバイデン氏の勝利を見込み、特にエネルギー関連株への売りも続きそうだ。

経済指標では、9月ISMサービス業景況指数(5日)、8月貿易収支、8月JOLT求人件数(6日)、新規失業保険申請件数(8日)、8月卸売在庫(9日)が予定されている。そのほか、FRBは7日に連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(9月15日、16日開催分)を公表する。FRBはこの会合で予想通りゼロ金利と量的緩和(QE)の据え置きを決定した。また、インフレ平均目標という新指針を掲げ、最大雇用が達成されインフレが2%を緩やかに上回るまで低金利を維持する新たなガイダンスを発表した。四半期予測ではメンバーが平均で2023年末までゼロ金利を維持することになると見ていることも明らかになった。今後の経済の軌道はウイルスの展開次第で、第2波が当面のリスクと見ている。特に、参加者が資産購入の拡大を協議したかどうかに注目したい。追加緩和の可能性は市場にとりさらなるプラス要因となる。また、7日には副大統領候補の討論会が予定されており、注目だ。

企業決算では人事関連アウトソーシングのペイチェックス、衣料品メーカー、リーバイストラウス(6日)、ピザチェーンのドミノピザ(8日)、航空会社のデルタ航空(9日)などが予定されている。パンデミック下で、ドミノピザは好決算が続くと期待されている。小売りはオンライン売り上げの増加が目立つが、リーバイストラウスの収益改善にも期待したい。一方、航空関連は経済活動の再開にもかかわらず新型ウイルスの収束が見られず国内では一部の路線廃止などに追い込まれたほか、欧州でのウイルスの再燃で客足が期待されたほど伸びておらず、更なる業績悪化が警戒される。

(Horiko Capital Management LLC)

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。