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利益確定売り優勢の展開

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[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;23543.95;-75.74
TOPIX;1641.91;-5.47

[後場の投資戦略]

 東京株式市場で株価が堅調だ。今日の前場は利益確定売りが優勢となったが、先週1週間では、日経平均が589円(2.5%)の上げ、JASDAQ平均は5日続伸で2.0%上昇、マザーズ指数も5日続伸で9.2%の大幅上昇となった。株価上昇で市場の雰囲気も明るさを増している。今回は「市場心理」という視点から考えてみる。

 まず日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)。恐怖指数と呼ばれる米VIX指数が手本となって作られた指数だ。先週1週間の動きを見ると、日経平均VIは5日連続で低下し、先週末9日はコロナによる株価急落直前の2月21日以来、約7カ月半ぶりに節目の20ポイントを終値で下回った。今日の前場も日経平均が下げる一方で日経VIは先週末水準を下回って推移した。

 次に金(ゴールド)。大阪取引所で売買される金先物は夏場には騰勢を強め8月7日に1グラム7000円を超えた。その後、利益確定売りも出て調整相場となり、9月下旬には6200円台まで下げた。この間、市場で指摘されたのが、9月の米国株調整など株価下落による損失を金売却で補い、手元資金を確保しようとする換金売りだ。この動きはコロナショックで市場が混乱に陥った今年3月に見られた現象とよく似ており、9月は警戒感が高まる場面があった。しかし、10月に入りこうした動きは影を潜め、金先物は戻り歩調を確かなものとしつつあり、市場では金の換金売りに対する警戒感は後退してきたようだ。今日午前も金先物は堅調だ。

 日経VIや金先物の動きから窺えるのは、市場心理の好転だ。新型コロナは再び世界的に感染が拡大しており、また、米大統領選の不透明感や米中対立の激化懸念などは継続したままだ。その中での株価上昇と市場心理改善。「株価上昇は世の中の実態からかけ離れている」との指摘は多い。ただ、このような理路整然とした分析は、コロナ急落後、株価が底打ちから急反騰する段階で毎日のように聞かれた。そして結果は理路整然とした分析とは違うものとなった。相場は理屈通りにはいかないこともある。ここは漠然とした市場心理の改善に目を向けても良いのかもしれない。

 さて、後場の東京市場で日経平均は底堅く推移しそうだ、取引開始前に発表された8月の機械受注統計は予想を上回っており、投資環境は悪くない。前場は利益確定売りが優勢となったが売り急ぐ動きはなく、下値では押し目買いも見られており、利益確定売りが一巡すれば次第に底堅い動きとなる可能性が高いだろう。
(小山 眞一)
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