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日経平均は反落、中小型株に需給調整広がるが…

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 日経平均は反落。184.61円安の23454.85.円(出来高概算4億1000万株)で前場の取引を終えている。

 21日の米株式市場でNYダウは反落し、97ドル安となった。追加経済対策を巡るムニューシン財務長官と民主党のペロシ下院議長の交渉を睨んだ展開で、クドロー国家経済会議(NEC)委員長やペロシ氏が合意に向け楽観的な見方を示すと大きく上昇する場面もあった。しかし、メドウズ大統領首席補佐官がまだ多くの相違が見られると慎重な見解を示し、引けにかけて下落した。ブラジルで新型コロナウイルスワクチンの臨床試験に参加していた患者が死亡したと伝わったことも投資家心理を冷やした。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで113円安からスタートすると軟調もみ合いとなり、この日の安値圏で前場を折り返した。

 個別では、任天堂<7974>、ソニー<6758>、キーエンス<6861>、トヨタ自<7203>などがさえない。売買代金トップのソフトバンクG<9984>も小幅安となっている。来春の首都圏での終電繰り上げを発表したJR東<9020>が3%近く下落し、前日に島忠<8184>買収合戦への参加観測が報じられたニトリHD<9843>も5%近い下落。また、中小型株の一角で手仕舞い売りがかさみ、MDV<3902>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、ファーストリテ<9983>やファナック<6954>は小じっかり。前述の島忠は続伸している。10月既存店売上が好調だった西松屋チェ<7545>は3%の上昇。また、業績上方修正を発表したレッグス<4286>やNOK<7240>が東証1部上昇率上位に顔を出している。

 セクターでは、空運業、医薬品、小売業などが下落率上位で、その他も全般軟調。非鉄金属とゴム製品の2業種のみ上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の80%、対して値上がり銘柄は16%となっている。

 本日の日経平均は3ケタの下落で前場を折り返した。節目の23500円も下回っているが、23400円台前半に位置する25日移動平均線は割り込んでおらず、基調に変化はないとみていいだろう。米国株は相変わらず追加経済対策を巡る協議に一喜一憂する展開。11月の大統領選と議会選を野党・民主党が占める「トリプルブルー」により、大規模な財政支出が実現するとの期待も根強くあるが、激戦州を中心に現職のトランプ大統領が巻き返しつつあるようだ。また、米当局がイランとロシアの関与に警告を発したと伝わっており、大統領選の行方は改めて混沌としてきた。以前当欄で指摘したとおり、「シナリオさえ定まれば投資資金は動く」だろうが、当面は手掛けづらさが意識されそうだ。

 東京市場は現物株・株価指数先物とも薄商いが続くなか、海外勢の短期的な先物売買により相場全体が上下する格好だ。ここ数日の先物手口を見ると、日経平均先物ではJPモルガン証券、東証株価指数(TOPIX)先物ではクレディ・スイス証券が日々売り越しと買い越しを繰り返すといった流れになっている。全体としては持ち高を一方向に傾けようとする動きは乏しい。また、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れは引き続き相場の下支え役として機能している。本日もTOPIXが1.19%の下落で前場を折り返しているため、後場はETF買いが実施される公算が大きい。

 ただ、中小型株の手仕舞い売りがかさんでいるのは短期的な懸念材料だ。前場のマザーズ指数は4%近い下落となり、1200pt台後半に位置する25日移動平均線水準まで調整が進んだ。マザーズ銘柄の信用買いは記録的な水準に膨らんでいたし、直近で商いを伴い急騰する銘柄も多かっただけに、需給調整を強いられるとの懸念はあった。まずはマザーズ指数が25日線水準で踏みとどまるか見極めたいところだが、同線を割り込んでくるようなら株式相場全体にも影響が波及する可能性がある。

 ネットショップ作成支援のBASE<4477>を中心に、新興ハイテク株の4-6月期の業績モメンタム(勢い)は総じて強く、コロナ禍での「ニューノーマル(新常態)」進展や菅新政権のデジタル化推進という追い風も加わって、マザーズ指数は3月13日安値527.30pt(取引時間中)から10月14日高値1368.19pt(同)までおよそ2.6倍に上昇。一時2018年高値をも上回った。株価指標面で見れば、マザーズ指数の上昇をけん引してきたBASEなどは将来の成長期待をかなり織り込んでいるとの見方を筆者も否定しない。

 ただ、一足先に発表を終えた6-8月期決算では、ITコンサルに強みを持つ東証1部のベイカレント<6532>が好調ぶりを見せたほか、マザーズ上場企業でも名刺管理サービスのSansan<4443>などが高評価を得た。7-9月期決算発表を前に、既に企業向けクラウドサービスのラクス<3923>などは業績上方修正を発表している。IT技術の活用ニーズが堅調であることが窺える。7-9月期決算は新興ハイテク企業の業績モメンタムの強さを再確認する場となるかもしれない。もちろん、菅政権が引き続きデジタル化に邁進することで、政策の追い風期待も根強く残るだろう。

 決算を前にした中小型株の需給調整が、新興ハイテク株の押し目買い好機となる可能性があることも念頭に置いておきたい。
(小林大純)
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