ところで「なぜ温泉は身体に良いのか」、保健師が徹底解説します

2016.11.01
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by gyouza(まぐまぐ編集部)
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温泉大国である日本。

日本各地にはさまざまな温泉があり、その効果もさまざまです。

「温泉=身体にいい」というイメージをもつ人がほとんどだと思いますが、なぜ温泉は身体に良いとされているのでしょうか?

ご一緒にみていきましょう。

温泉の効果はどうしたら分かる?

温泉に行くと、温泉の成分(泉質)やその効能が掲示されている「温泉分析書」を目にしますね。

環境省が定める基準によって、温泉の泉質や「適応症」「禁忌症」などが記されていて、温泉には必ず記載されています。

適応症とは、温泉療養を行うことによって効果を期待できる症状のことをいい、禁忌症は温泉に入ってはいけないという症状を示しています。

適応症には、泉質を問わず温泉であれば共通する「一般的適応症」と、泉質によって定められた「泉質別適応症」があります。
ではなぜ温泉に効果があるとされているのでしょうか?

温泉に共通する効果

泉質を問わず温泉に共通する効果を「一般的適応症」といいます。温泉に効果があるとされる理由は、温泉のさまざまな作用によって次のような効果が期待できるからです。

温熱作用による効果

温泉による温熱作用が血管を拡張し、筋肉や関節痛の痛みをやわらげます。

また、血圧を下げるなどの心臓や血管などに対する効果を発揮するといわれています。

リラックス効果

温泉に入ると浮力が働くので、身体が軽くなり筋肉の緊張がほぐれることによってリラックス効果が期待できます。

とくに37~40度の温かいお湯には、副交感神経を刺激し、リラックス効果が期待できます。一方、42度以上の熱めのお湯は、交感神経を刺激するため、入浴後にすっきりとした感覚をもたらします。

疲労回復効果

身体が温まると全身の血行を促進されて、新陳代謝が高まります。体内の老廃物の排出を促すので、疲労回復などにつながります。

ストレス解消効果

温泉地に行くという日常生活から離れることができますね。これによって、日々のストレスから解放されたり、精神的疲労を回復する効果が期待できます。

こんな症状に効く!温泉の一般的適応症

温泉の成分による効果ももちろんですが、温泉の「一般的適応症」は、上記の作用の総合的な反応と考えられます。具体的には次のような症状に効果があるといわれています。

・筋肉又は関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺による筋肉のこわばり
・冷え性、末梢循環障害
・胃腸機能の低下
・軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症
・軽い喘息又は肺気腫
・痔の痛み
・自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、抑うつ状態など)
・病後回復期、疲労回復、健康増進

ここまで温泉に共通して期待できる効果や症状をご説明してきました。

温泉にはさらに泉質別に効果が期待できる泉質別適応症があります。詳しくみていきましょう。

温泉の成分ごとの効果とは? ~泉質別適応症~

医学的に治療効果のある温泉水のことを「療養泉」といいます。

療養泉は主成分によって分類されていて、その泉質による効果を「泉質別適応症」とよんでいます。泉質には多くの種類がありますが、今回はそのうちの一部をご紹介します。

1.単純温泉
単純温泉は刺激が少なく、誰もが入ることのできる温泉です。日本にも多くあります。

単純温泉のうち、pH8.5以上の温泉を「アルカリ性単純温泉」といいます。

疾患ではないため適応症としての効果には記載がありませんが、アルカリ性のお湯は石鹸で洗ったときのように皮脂を乳化し、皮膚の表面である角質を柔らかくするため、肌がすべすべになるといわれています。そのため、別名「美人の湯」とよばれることもあります。

2.塩化物泉
塩化物泉は海水の成分に似た塩分を含んでいて、肌についた塩分が入浴後の発汗を抑えてくれるため、保温保湿効果が期待できます。これによって入浴後も肌の乾燥や汗の蒸発を防ぎ、湯冷めもしにくくなります。

さらに、保温保湿されることで、きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥などに効果があるといわれています。

3.二酸化炭素泉
二酸化炭素泉は、二酸化炭素、つまり炭酸ガスを含む温泉です。科学的に、血管拡張作用があることが証明されています。

血管拡張によって血液循環がよくなるため、きりきず、抹消循環障害、冷え性、自律神経不安定症に効果があるといわれています。

4.硫黄泉
硫黄泉は、ゆで玉子が腐ったような臭いがする泉質です。いわゆる温泉の臭いとして多くの人が想像する臭いですね。硫黄泉は臭いからも分かるように、刺激が強い泉質になります。

その刺激のある泉質は、角化症や慢性湿疹などの慢性の皮膚疾患に効果があるとされ、昔から皮膚の治療にも用いられてきたそうです。

最近では、硫黄泉のなかでも「硫化水素型」に、血管拡張作用があることが証明され、高血圧や末梢循環障害に効果があるといわれています。刺激が強い泉質ですので、とくに皮膚の弱い方は、身体についた温泉成分をシャワーなどで洗い流してから上がるようにしましょう。

5.酸性泉
酸性泉は酸性度の高い温泉で、刺激の強い泉質になります。その酸性の温泉は、皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎、尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)、表皮化膿症などに効果があるといわれています。

硫黄泉と同じく刺激が強いため、湯上り時には身体についた温泉成分を洗い流すことが必要です。

温泉が身体に悪影響を及ぼすことも!?

身体に良いことが多い温泉。ところが、逆に温泉が身体に悪い影響を及ぼす可能性もあります。

温泉では「適応症」などの効果とともに、「禁忌症」として1回の温泉入浴又は飲用でも悪い影響を及ぼしかねない病気・病態が記されています。

禁忌症には次のものがあります。

・発熱があるような病気のとき
・むくみが出てくるような腎臓の病気のとき
・目に見える出血があるとき、消化管出血をおこしているとき
・進行した悪性腫瘍や重い貧血で身体が著しく衰弱しているとき
・慢性病の状態が悪くなっているとき
・動くと息苦しくなるような重い、心臓や肺の病気のとき

このような状態にある方は、温泉が逆に身体の負担となることがあります。「温泉分析表」には、適応症だけでなく、禁忌症と注意事項も記されています。

きちんと読んで理解した上で、温泉の効果を活用してみましょう。

執筆:井上 愛子(保健師、看護師)

image by: Shutterstock

 

<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

 

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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