好調続く江崎グリコが、創業者出身地の工場を閉鎖するワケ

20170905_glico
 

ポッキーやパピコでおなじみの江崎グリコ。最近では健康ブームに乗って、機能性表示食品のチョコレート「リベラ」や「ギャバ」といった新たなヒット商品も世に送り出しています。しかしここに来て、創業者の出身地である佐賀市と、広島市の2工場閉鎖を発表。一体同社に何が起きているのでしょうか。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者の佐藤昌司さんが、店舗経営コンサルタントの視点で詳細に分析しています。

ポッキーの江崎グリコが佐賀・広島の工場を閉鎖した理由

「ポッキー」でおなじみの江崎グリコは8月21日、生産子会社である九州グリコ(佐賀市)と広島グリコ乳業(広島市)を解散し、それぞれが保有する工場の生産を終了すると発表しました。解散に伴い、18年3月期に5億3,500万円の特別損失を計上するとしています。

江崎グリコは閉鎖理由として、国内生産拠点の整理・再配置を行なって経営の効率化を図ることを挙げています。

九州グリコの工場は1953年に新設されました。それから60年以上が経過し、建物や設備などの老朽化が進んでいたとみられます。また、生産していたチーズスナックチーザやガム製品の販売が不振だったことも工場閉鎖につながったとみられます。

江崎グリコの「ガム・キャラメル・キャンディー」カテゴリーの売上高は規模が小さく、年々縮小していました。16年3月期の売上高構成比は1%台とわずかです。同期の売上高は12年3月期と比べて3割以上も減少しています。17年3月期はカテゴリー自体を廃止しています。

こうしたことから、売れないガム製品を主に生産していた九州工場の操業度は相当程度下がっていたとみられます。工場閉鎖に向けて段階的に操業度を下げていたことも考えられます。

創業者の江崎利一氏(1882~1980年)は佐賀市出身で、同県の有明海で採れるカキに含まれるグリコーゲンに目をつけて同社を創業しました。つまり、グリコにとって思い入れのある佐賀の地で拠点の一つが無くなることになります。なお、別の生産子会社の佐賀グリコ乳業の工場は佐賀市に残るということです。

広島グリコ乳業の工場はカップ入り飲料「ドロリッチ」やコーヒー乳飲料「マイルドカフェオーレ」などを主に製造していました。これらは江崎グリコにおいて主力製品ではありません。乳製品を製造する国内工場は他に複数あることもあり、広島工場を閉鎖しても大きな影響はないと考えられます。

江崎グリコの工場の経営効率は決して良いとは言えない状況だと考えられます。工場などの経営効率を示す「有形固定資産回転率」が近年不安定で伸び悩みを見せているからです。

print
いま読まれてます

  • 好調続く江崎グリコが、創業者出身地の工場を閉鎖するワケ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け