猛暑もチャンス発言の森喜朗会長へ。これでは東京五輪で死者が出る

 

異常な猛暑に襲われている日本列島。熱中症による死者は60人以上を数え、7月23日には都内初の気温40度超えを記録しましたが、そんな東京で2年後の夏に開幕を迎えるのが「東京五輪」です。健康社会学者で気象予報士でもある河合薫さんは、自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の中で、「猛暑が五輪成功のカギとなる」との森喜朗東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長の発言に疑問を呈すとともに、様々な要素を勘案した上で「北海道での開催」を提案しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年7月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

「死の危険性」がある東京オリンピック?

異常な暑さが続いています。連日、最高気温が更新される中で、熱中症で亡くなる方も後を絶ちません。もはやこれは「気象災害」です。

どうかくれぐれもみなさまもお気をつけて。絶対に過信せず、水分補給と休養をまめに取り、できる限り外出は避けてください。また、こういう時は「おせっかい」くらいがちょうどいいので、ご近所に高齢者がいらっしゃる場合は、一声かけてくださいませ。

さて、2年後にはいよいよ東京オリンピックが開幕しますが、こんな酷暑の日本で、本当にオリンピックなんてやって大丈夫なんでしょうか?

おそらく日本中の誰もが心配しているのに、全くその危機感がないのが2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長です。

森喜朗会長が語る、この猛暑が東京五輪成功のカギに

日刊スポーツの単独インタビューで森氏は、

この暑さでやれるという確信を得ないといけない。ある意味、五輪関係者にとってはチャンスで、本当に大丈夫か、どう暑さに打ち勝つか、何の問題もなくやれたかを試すには、こんな機会はない。“ピンチはチャンス”という発想で、暑さ対策で日本のイノベーションを世界に発信する機会だ。

と、語ったというのです。

ピンチはチャンス???

これは一体どういう意味なのでしょうか?

暑さ対策として検討されてきた、道路の遮熱性舗装街頭ミストなどを今年試して「冷却効果あり」という結果が得られれば、「本番もオッケー!」と自信を持てるということなのでしょうか?

あるいは月曜日に「打ち水」のイベントが行われましたが、「やっぱり打ち水はいいね! 涼しくなるね!」と意見が集まり、路面温度が少しでも下がれば「実証実験で効果あり!」とお墨付きを与えるということでしょうか?

…んったく。組織委員会の皆様は「外を歩いたことがない」のだと思います。

ギンギンに太陽が照り付け、体温以上の熱波がうごめく“あの息苦しさ”を経験したことがない。だからこんな「チャンス」だの「何の問題もなく試す」とか、熱中症による死者が毎日出ている異常高温のさなかに、平気で使うことができるのです。

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け