生かされない震災の教訓。消防組織は国民の生命財産を守る気なし

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緊急消防援助隊中部ブロック合同訓練を視察した、メルマガ『NEWSを疑え!』の著者で軍事アナリストの小川和久さんは、その光景に目を疑い絶望的な気持ちになったと言います。そこには、1995年1月の阪神・淡路大震災で神戸市と近隣の応援消防部隊が直面した問題の教訓が生かされていない消防車両の隊列があったそうです。いったいどういうことなのでしょうか?

相互連携を無視した種々の消防車両に怒り

11月4日、5日の両日、航空自衛隊浜松基地と富士山静岡空港などで緊急消防援助隊中部ブロック合同訓練が行われました。私も総務省消防庁消防審議会の専門委員でもあり、静岡県の危機管理に深く関わる立場から視察したのですが、日本の消防組織の在り方にダメ出しをせざるを得ませんでした。

象徴的だったのは、相互運用性(インターオペラビリティ)を考えたことがあるとは思えない消防車両の種類の多さでした。ぴかぴかに磨き上げられた真っ赤な消防車両が、まるで自分たちの組織の存在を誇示するかのように、私の目の前を行進していったのです。わたしは、それを使う場面を想像して、絶望的な思いにとらわれました。

災害現場に則して説明しましょう。不幸にしてA消防局の隊員が有毒ガスに見舞われて倒れたとします。消防車両は無傷のまま残されています。ほかの消防局の隊員がスムーズに使えるなら、それは有力な戦力となります。しかし、同じような機能を備えた消防車両であっても、レバーの位置からしてまったく違っていれば、それを確認して動かすまでに手間取ってしまい、活動が遅れてしまう恐れがあるのです。

相互運用性とは、外見などが異なる外国の組織の装備品であっても、本来の機能を発揮するために必要なレバーなどの位置は探さなくてもすむようになっていることです。軍事組織においては、同盟国間の相互運用性は必須の条件となります。弾薬にしても同じ口径になっています。まして同じ国の組織であれば、装備品は車両から工具まで同じものになっているのが普通です。北海道の部隊の自衛隊員が沖縄の部隊の装備品をそのまま使えること、それができなければ国民の生命財産を守ることはできないからです。

軍事組織である自衛隊とは違うといっても、国民の生命財産を守るという点では消防の任務も同じです。なぜ、そういう発想で装備品を揃えられないのでしょうか。実を言えば、日本の消防組織には忘れてはならない汚点があります。1995年1月の阪神・淡路大震災の時、応援に駆け付けた消防車のホースがつながらず、消火栓を開く器具の規格もバラバラで消火活動に支障をきたしたのです。

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