働く女性の5割が非正規。先進国中では最低の性差別大国ニッポン

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少子高齢化による働き手不足が叫ばれる一方、働く女性の半数が非正規雇用、さらに正規・非正規を問わず男女の賃金格差は先進国中最低レベルという日本。「性差別大国」と言っても過言ではない状況ですが、何がここまでの差を生じさせてしまったのでしょうか。健康社会学者の河合薫さんが自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で分析・検証しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年5月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

「働く女性5割」に潜む根強い女性差別

日本の14歳以下の子ども(外国人を含む)は、前年より18万人減り、総人口に占める割合はわずか12.1%で、少子化に歯止めがかからない深刻な状況が先日報じられました。

また、2018年の女性の就業率が全年齢ベースで51.3%となり、50年ぶりに5割を超えたことも、総務省の労働力調査でわかりました。

具体的には、

  • 女性の就業者は前年に比べ87万人増え、男性の45万人に比べ2倍近く増加
  • 25~34歳が77.6%で、前年より1.9ポイント増加
  • 35~44歳は75.8%で、前年より2.5ポイント増加

とこれまで子育てで仕事を離れがちなミドル層も軒並み上昇していました。

「働く」という行為は、人生を豊かにするリソースを得る手段です。なので働く女性が増えるのは喜ばしいし、子育てと仕事の両立への取り組みがある程度成功していると読み取ることもできます。

問題はその「働かせ方」です。

調査では男性の正規雇用が29万人増え非正規は22万人増だったのに対し、女性では正規雇用が24万人増え非正規は62万人増。男性の3倍近くが非正規雇用だったのです。

現在働いている人の3人に1人が非正規雇用とされていますが、女性に限ると2人に1人。4年生大学を卒業していても、いったん子育てなどで仕事を離れると正社員になるのは至難の技。どんなスキルを持っていようとも、非正規でしか雇ってもらえません。

さらに、男女間では依然として賃金格差が大きく、男性を100とした場合の女性の賃金は73.4。これは先進国では最低レベルです(2017年賃金構造基本統計調査)。

正規雇用の場合、男性の平均年収は547万円なのに対し、女性は376万円。非正規では、男性229万円に対し女性は150万円とかなりの格差が生じています。

賃金の男女差は「管理職の少なさ」や「就業年数」などで説明されがちですが、この数字をみればわかるとおり明らかな「性差別が存在しているのです。

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