なぜ、人は1本1万円の『ねぎ』にここまで心を奪われるのか?

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どんな分野でも「日本一」という肩書は顧客への強力なアピール要素となりますが、元商社勤めの男性が目指したのは、「日本一のねぎ農家」でした。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、「ねぎ」でナンバーワンの称号を手にした「ねぎびとカンパニー」の戦術と戦略を詳しく分析・紹介しています。

他社が作らないものを作る

今号は、注目を集めている農家を分析します。

ねぎびとカンパニー(ねぎの生産・販売)

戦略ショートストーリー

料理でねぎを使う方をターゲットに「味へのこだわりや独自の農法」に支えられた「甘くて美味しい」「贈って喜ばれる」等の強みで差別化しています。

独自の農法で育てられた「太いねぎ」を厳選して新鮮な状態で提供することで、顧客からの支持を得ています。

■分析のポイント

「ねぎびとカンパニー」の代表である清水氏が、様々な農作物がある中で、「ねぎ」を選んだ理由のひとつは「ねぎであれば日本一になれると思ったからのようです。清水氏は商社マンだったようですが、ナンバーワンになることの重要性を理解されていたのだと思われます。

やはり、どのような分野でもナンバーワンであることは顧客に訴求できますし、覚えてもらいやすいです。特に日本一という肩書は、インパクトが大きいですから「ねぎ」を扱う店舗との交渉事も進めやすくなりますし、市場をリードする存在になれる可能性が高くなります。

そして、「ねぎびとカンパニー」は3年で日本一になることを目標にしていたそうです。スピードを重視していたことが伺えますね。実際は、目標よりも早く実現していますので、すごいことです。

ナンバーワンになれる見込みがあってもナンバーワンになるまでに数十年かかるようでは、時間がかかりすぎますので、新規参入企業にとっては、魅力は薄いです。「ねぎびとカンパニー」は世界で戦える企業を目指していますので早期にナンバーワンになることにこだわったのも頷けます。

また、「ねぎびとカンパニー」の特徴として市場の規格にあわせて作るのではなく、美味しさに合わせて作るという姿勢です。

基本的に野菜は、規格通りに作られたものが市場に出回ります。例えば、きゅうりを生産している農家の場合、市場の規格に合わせて、まっすぐなきゅうりを作るのが通常です。曲がったきゅうりなどは、規格外となり、売れなくなることもあるためです。

「ねぎびとカンパニー」は市場で出回っている「細いねぎ」ではなく「太いねぎ」を生産しています。しかも、「細いねぎ」よりも「太いねぎ」を作る方が、難しいようです。

このことは、規格ではなく美味しさを重視していることを示していますし、他社がやらないことより困難なことにチャレンジすることが差別化につながっていると言えます。

今後の「ねぎびとカンパニー」の動向に注目していきたいです。

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