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中国、台湾、韓国以下。デジタル競争力世界30位という日本の惨状

台湾の国際的評価が年々アップするのに比して、あらゆる面での凋落が止まらない日本。その事実は世界の競争力調査の結果を見ても明らかです。台湾出身の評論家・黄文雄さんはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、台湾の評価アップ、そして日本の競争力低下の理由を記すとともに、国力バランスに同期する世界情勢の変化について考察しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年10月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】国際評価の高まりで注目を浴びる台湾の行方

台湾の競争力、12位に上昇 イノベーション力などは世界トップレベル

台湾社会に対する国際的評価が高まっています。スイスのシンクタンクである世界経済フォーラムWEFによる2019年国際競争力ランキングが発表されました。詳細は以下、報道を引用します。

台湾は前回より1つ順位を上げて12位となった。指標別では「マクロ経済の安定性」や「イノベーション力」が世界トップレベルと位置付けられた。

 

141カ国・地域を対象に、「労働市場」「インフラ建設」「健康』など計12項目を各100点満点で評価する。1位はシンガポール。2位以下には米国、香港、オランダ、スイス、日本が続いた。

 

アジア太平洋地域では、台湾はシンガポール、香港、日本に続いて4位。韓国(世界13位)やオーストラリア(同16位)、ニュージーランド(同19位)などを上回った。

 

台湾は「マクロ経済の安定性」で満点の100ポイントを獲得。また、「イノベーション力」の得点は80.2ポイントで、ドイツ(86.8)、米国(84.1)、スイス(81.2)に次ぐ4位だった。イノベーション力で80ポイント以上が付いたのはこの4者のみで、順位は前回と変わらなかった。

 

このほか、「金融システム」(6位)、「ICT(情報通信技術)普及度」(11位)、「商品市場」(14位)などの順位が高かった。

このランキングは、世界141の国と地域を対象とし、その国の金融システムや革新力、労働市場や健康事情など12項目を100点満点で評価しています。10位までのランキングは以下の通りです。

「世界競争力報告」2019年 上位10か国

 

1位 シンガポール

2位 アメリカ

3位 香港

4位 オランダ

5位 スイス

6位 日本

7位 ドイツ

8位 スウェーデン

9位 イギリス

10位 デンマーク

『世界競争力報告』香港が3位に上昇。日本は6位に後退(2019年)

このランキングの項目には、インフラやイノベーションなどの言葉が並び、政治がうまく回っていなければ実現できない項目もあるようです。つまり、蔡英文政権はここでも高く評価されたということです。逆に日本は前回の5位からひとつ順位が下がりました。アメリカも前回の1位から2位へダウンしました。

もうひとつ、同じくスイスのローザンヌに拠点を置く有力ビジネススクールIMDによる2019年の世界デジタル競争力ランキング」が同時期に発表されました。こちらでも、台湾は順位を上げています。詳細は以下報道を引用します。

世界63カ国・地域のデジタル競争力を、「知識(knowledge)」「テクノロジー(technology)」「将来に向けた準備(future readiness)」の3つの主要ファクターから分析・評価した。台湾の世界順位は、対昨年比3位アップの13位だった。

 

(中略)

 

レポートによると、台湾の強みは「Mobile Broadband subscribers(=モバイルブロードバンド加入者)」が世界1位、「IT & media stock market capitalization(=IT&メディア関連企業の時価総額)」と「Total R&D personnel per capita(=総人口に占めるR&D人員の比重)」が世界2位であること。このほか、「Graduates in Sciences(=理系の卒業生)」「High-tech exports (%)(=ハイテク産業の輸出額の比重)」「Agility of companies(=会社の機敏性)」「Educational assessment PISA -Math(=学生の数学分野での学習到達度)」などが、いずれも世界3位となった。

 

IMDによると、そのうち「モバイルブロードバンド加入者」は、3G及び4Gユーザーの百分率を指しており、台湾は日本、シンガポールと並んで世界1位となった。

IMD「世界デジタル競争力ランキング2019」、台湾は世界13位に

台湾の化学および物理分野が進んでいることは世界的に有名で、医学のレベルが高いことでも知られています。戦後、日本で学んだ台湾人は、日本の近代医学、ことに西洋医としての国家試験の合格率が高く、「世界最大の医者の産地」ともいわれていました。

台湾社会はこうした積み重ねの上に成り立ち、さらに努力を重ねて確実に国際競争力をつけています。そして、世界はそれをちゃんと知っているということです。

そして日本ですが、日本人のみなさんにはショックな結果となっています。32位までのランキングは以下の通りです。

世界デジタル競争力ランキング

 

1位 シンガポール

2位 香港

3位 アメリカ

4位 スイス

5位 アラブ首長国連邦

6位 オランダ

7位 アイルランド

8位 デンマーク

9位 スウェーデン

10位 カタール

11位 ノルウェー

12位 ルクセンブルグ

13位 カナダ

14位 中国

15位 フィンランド

16位 台湾

17位 ドイツ

18位 オーストラリア

19位 オーストリア

20位 アイスランド

21位 ニュージーランド

22位 マレーシア

23位 UN

24位 イスラエル

25位 タイ

26位 サウジアラビア

27位 ベルギー

28位 韓国

29位 リトアニア

30位 日本

31位 フランス

32位 インドネシア

Singapore topples United States as world’s most competitive economy

日本は前回から5つ順位を下げた30位で、比較可能な97年以降過去最低でした。もっと言えば、90年代は日本は4年連続で首位でした。日本の衰退ぶりがあまりに顕著です。報道によれば、「企業の生産性の低さや経済成長の鈍化などが理由で、アジアの中での地盤沈下も鮮明になっている」ということです。

日本の競争力は世界30位、97年以降で最低 IMD調べ

両方のランキングで1位になったシンガポールはさすがですが、ただ、人口560万人で、面積は日本の500分の1ですから、そうした国と日本などを同じ土俵で比べるのも、やや無理やりな感じもします。

いずれにせよこの2つのランキングで分かるのは、日本を含めた先進各国の後退ぶりでしょう。アメリカ、ヨーロッパ、日本などはランクダウンまたは下位へのランクインでした。

逆に急上昇している国として、各報道が名前を挙げているのはインドネシアです。「総合順位は43位から32位に急浮上し、日本を猛追している。首都ジャカルタでは今春、同国初の地下鉄が開業するなど、インフラやビジネス環境の改善が寄与した」、とのことです。

日本の競争力は世界30位、97年以降で最低 IMD調べ

台湾の蔡英文政権は評価が分かれているとはいえ、こうした面ではしっかりと結果を出しているようです。一方で安倍政権は安泰と言われながらも前進していないどころか後退しています。消費増税したばかりの日本で浮上したのは、消費税の計算ができない大人たちです。消費税を計算するのに、税抜価格に1.08を掛けることができない大人が多いというのです。そんな大人たちが、資格試験や会社の審査で困ったときに頼るのが、大人向けの算数教室だそうです。

教育劣化どこまで 社会に出て「引き算」を習う大人たち

それに加えて、日本には外国人児童の不就学問題もあります。日本の「教育劣化」問題は深刻です。日本人の皆さんは、この問題を他人事ではなくもっと自覚を持って真剣に受け止めなければ日本の劣化は止まることがないでしょう。

グローバリズムの歴史的産物として、まずは台湾がIC大国として外貨残高や株の総価格が日本を上回りその次にBRICsが台頭してきました。しかし、冷戦終結後には世界の資金は中国の巨大市場へと流れ産業の空洞化が著しくなりました。そして今は米中貿易経済戦争が起こっています。まさしく歴史のターニングポイントです。アメリカから中国へ流出している資金と技術が違う場所へ流れるようになれば世界は変わります。もしそれが現実となれば、今後の世界情勢は大きく変わることでしょう。

香港の反中世代も、台湾の「天然独(生まれながらの独立派)」も、中国の「愛国教育」を受けた世代です。彼らはなぜ、中国統一も一国二制度も反対なのか。そこに、中国の「愛国教育」の限界があります。魅力ある国は、軍事力の誇示や派手な軍事パフォーマンスは必要ありません。

国の求心力や魅力は、長い努力によって培われるものです。2020年の台湾総統選挙は、そのことを問う選挙となります。文明の衝突とも捉えられています。今から、この選挙に世界中の関心が集まっているのは、こうした選挙の意義を世界が知っているからでしょう。

image by: Shutterstock.com

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年10月16日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。

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