言いたくはないが敢えて苦言。安倍内閣は予備費を何に使ったのか

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元国税調査官で作家の大村大次郎さんは、メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で前々回、わが国が他国のように新型コロナウイルス感染対策に予算を割けない原因として、安倍内閣後の予備費削減の事実を明らかにしました。今回は、その削減された予備費が、安倍内閣や自民党の身内とも言える支持基盤へバラ撒かれている事実を詳らかにしています。大村さんは、隙あらば身内優遇に走ろうとする現政権が、今後組まれる新型コロナ対策の特別な予算をどう使うのか、厳しい目を向ける必要があると指摘しています。

安倍内閣のケチケチぶりは予備費削減のせい

前々回(3月1日号)で、安倍内閣になってから日本の予算の「予備費」が大幅に削られているということ、をご紹介しました。そして予備費が削られたために日本政府は「何かあったときにすぐに対応できない」状態になっていたということをご説明しました。

前回にお約束したように今回は、「安倍内閣は予備費を大幅に削って、その予算を何に使ったのか?」ということをご紹介したいと思います。

正直、今回、この記事を書くかどうか非常に迷いました。世界的な大惨事の中、一致団結してこの危機を乗り越えなくてはならない時期であり、なるべく政府の要請には協力すべきだと思われ、政権の足を引っ張るような記事を書くべきではないのではないか、と。

が、新型コロナウィルスの経済対策で、「お肉券」や「お魚券」を支給しようする愚行を見たとき、やはりこの政権は目を離すとすぐに利権に動いてしまう、それをけん制するためにも、批判は必要だと思いいたり、この記事を掲載しています。

まずは、安倍内閣での予備費の推移をもう一度確認しておきたいと思います。下が昨今の日本の予備費の推移です。

2009年度      2兆3425億円
2010年度      3兆2025億円
2011年度      2兆2095億円
2012年度      3兆4253億円
2013年度(安倍政権)1兆6626億円
2014年度  ↓   1兆6236億円
2015年度      1兆6335億円
2016年度      1兆4822億円
2017年度      1兆4677億円
2018年度      1兆3217億円
2019年度      1兆5341億円

 

財務省統計表18表より
(経済対策予備費、復興予備など予備費全般を含む)

この推移を見ると安倍内閣になってから予備費が1兆円~2兆円減っていることがわかります。もともと2兆円から3兆円しかない予備を1兆円以上も削るのですから、そりゃあ、何か起こった時に対応できないだろう、ということです。

日本政府がコロナ対策で動いたことといえば、国民に自粛を要請することばかりです。イベントの中止要請、外出自粛、飲食店への出入りの自粛等々。しかもこの自粛に際して、経済的な打撃を受ける人たちへの補償は示されていませんでした。国民の批判を受けて、今になってようやく補償に関して検討していますが。

それもこれも日本政府には、財源の余裕がないからなのです。いや、日本政府は100兆円の規模を持っているのですが、その予算の使い道は族議員等によってガチガチに支配されているので、いざというときに出せるお金がないのです。

首相が非常事態宣言をなかなか出せないのも、非常事態宣言で経済打撃を受けた人々に対する補償ができないからなのです。欧米諸国が、国民に手厚い補償をしてロックダウンをしたことを見れば、日本政府のケチケチぶりは一目瞭然です。

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