日本の家庭料理の6割がフライパンで欧米の6割がオーブンを使う訳

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外出自粛や休校の影響で、家族のために毎日三食しっかりと作り続けるお母さん方から悲鳴が上がっています。世界を見渡してみると、毎日異なる献立を考え調理するのは珍しいのだとか。今回の無料メルマガ『おやじのための自炊講座』では著者のジミヘンさんが、そんな日本のお母さん方に敬意を表しつつ、世界から見ても特異な日本人の食文化について考察しています。

日本の食文化

皆さん、お元気ですか。ジミヘンです。

テレビをつけると、勿論「新型コロナウイルス」の話題ばかり。情報過多になると、私たちの判断がにぶってしまう。誰が感染したかじゃなくて、わが国政府の進め方が誤っていないか、各国の対策の中にわが国が取り入れるべきものはないのか、私たちの役割分担はこれでよいのか、そういったことを議論すべきだろう。「全国放送」という名の「東京ローカルテレビ」は東京都の話題ばかり、関西ローカル局は大阪府の話題が多い。だから、私は「兵庫県下のニュース」を詳細に発信する「サンテレビ」を見ている。

4月以降、わたし達の日常生活も激変している。つまり、学校の休校や在宅勤務が増えて、家で食事をする機会が圧倒的に増えた。リタイア組の私は、週に2~3度の外食・外飲みが減ったくらいだが、毎日のように外食をしていたサラリーマン達は困惑しているだろう。何より家庭のお母さんたちのご苦労が想像できる。毎日三度の食事を真面目に作ろうとすると、アイデアも体力もパンクしてしまう。肩の力を抜いて、メリハリを付けた家庭食を続けていくしかないだろう。

そこで、今回こんなことを考えた。それは、ずっと以前から温めていたテーマで、「日本人と食」というもの。世界から見ても特異な「日本人の食文化」について考えてみたい。

人気料理家のコウケンテツ氏が以前、こんなことを言った。

「日本のお母さんは大変ですよ。毎日、朝・昼・晩とバラエティに富んだ料理の献立を考えなくちゃならない。海外の家庭料理なんて、毎日同じものばかり食べてますよ」

まさにその通り。世界を見渡しても、日本だけがひとり「今日は和食、明日は中華、あさってはイタリアン、その次はエスニック料理」という具合に、世界中の料理を食べている。本当に珍しい国だ。

最近、読んだ漫画家・ヤマザキマリ氏のエッセイ本「パスタぎらい」の中でも、イタリア人と日本人の食文化の違いについて書いている。曰く、食通の日本人がレストランで各国の高級ワインをグラスに注ぎ、グルグル回しながら「利き酒」している様に驚いた。ずっと暮らしているイタリアでは、1本数百円のワインを、それも地元のワインしか飲んでいないから…。

イタリア人の「食に対する保守性とナショナリズム」、日本人の「多様で多国籍などん欲さ」は対極にあると言える。土地に根ざしたシンプルで食べ飽きない質素な料理を食べ続けているイタリア人に対し、日本人は「ハレの日・ケの日」に関係なく、毎日バラエティに富んだごちそうを食べなければ気が済まないという「飽食の日々」を過ごしている。

小生が続けている食べ歩きブログ「ジミヘンのおいしいもの探し」を書いていて困ることがある。それは料理の「カテゴリー」だ。一応、和食・中華・洋食・居酒屋・お好み焼きなどのジャンルに分けているのだが、毎回悩む。

例えば「とんかつ屋のロースかつ定食」、「ラーメン屋の味噌ラーメン」、「カレー屋のカツカレー」、「精肉店の揚げたてコロッケ」等。「これって、ぜんぶ和食じゃないか?」と思ってしまう。私たちが日常食べているトンカツ・カキフライ・カレーライス・オムライス・ラーメン・天津飯・焼き餃子などは外国ではお目にかかれないものばかり。明治時代以降、日本人が創意工夫をして開発した「日本食」である。ローカライズと応用力、「改善(KAIZEN)」の精神で切磋琢磨して作り上げた「日本の料理」である。

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