1500人もの社員を「適法」でクビにした日本IBM「退職勧奨」の実態

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コロナ禍にあって、企業側がやむなく社員に退職を求めざるを得ないケースが頻発しています。労使双方が納得し、後々トラブルに発展することがないよう進めるためには、どのような配慮や手続きが必要となってくるのでしょうか。今回のメルマガ『ブラック企業アナリスト 新田 龍のブラック事件簿』では働き方改革コンサルタントの新田龍さんが、過去に適法とされた「退職勧奨」の例を挙げつつ、その進め方を詳しく解説しています。

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コロナ禍で人員削減の実態。適法とされた日本IBMの「退職勧奨」事例

前回より「退職勧奨」について解説している。退職勧奨とは文字通り、従業員を退職に向けて説得し、相手の同意を得て退職させることである。解雇と比べると従業員の同意を得ている点でトラブルになりにくく、企業としてのリスクも低いというメリットがある。

日本の労働法では労働者を保護するため、退職勧奨については「労働者の自由な意思に基づいてなされたもの」かどうかを客観的な状況から判断し、有効か無効かが決まる傾向がある。とくに、一度に大人数を対象とした退職合意をとる場合は、次の3点について留意すべきである。

1.情報提供姿勢

現在の会社の経営状態(売上、人件費、資金繰り等)を具体的にかつ事実に基づいて説明したかどうかが重要になる。曖昧な情報、もしくは事実に反する内容を説明した場合は、退職合意書にサインしても、労働者の自由な意思に基づいたものではないと判断される可能性がある。そのためには、事務的な文書を交付するのみならず、説明会を実施したり、対面で説明をおこなったりしたうえで、説明資料も合わせて渡すくらいの対応は必要である。

2.時間的猶予

従業員に対して説明をおこなった後、その場で即時サインを求めたのか、一度持ち帰って検討してもらったのか等、どの程度検討時間を与えたかどうかが重要となる。当然ながら、数日間程度の猶予があるほうが「労働者の自由な意思に基づいてなされた」決断であると判断されやすくなる。

3.金銭支出

通常の退職金のみならず、特別協力金や慰労金、有給休暇買取りといった名目により、退職の際に追加して支払う金銭が多ければ多いほど「労働者の自由な意思に基づいてなされたもの」と判断されやすくなる。

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