開戦か、大恐慌か。世界で新型コロナが爆発させた怒りのマグマ

shutterstock_1702544878
 

新型コロナウイルスによる感染症の脅威に、全世界が晒された2020年。ワクチン開発により光明はわずかながらに見え始めたものの、収まらぬ紛争やさらなる悪化が予想される経済など、現実は依然として厳しいものと言わざるを得ません。2021年、世界はどのような状況となるのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者の島田久仁彦さんが、予想される各国の動きを詳細に分析した上で、世界が一触即発の状態となることを懸念するとともに、そんな中にあって日本が実は非情に強く有効な立場にあるという、「希望が持てる事実」を記しています。

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

2020年―COVID-19のパンデミックが変えた世界

2020年は皆さんにとってどんな1年だったでしょうか?

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが世界各地を襲い、例外なくほぼすべてが変化しました。働き方に対する考え方とスタイルが変わり、コミュニケーションの手段が変わり、教育の提供方法も大きく変わりました。多くの命を奪い、私たちに「明日は我が身」という危機感を抱かせました。多くの人が職を失い、社会的な不条理があちらこちらで露呈しました。

でも、COVID-19のパンデミックの裏で起こったことは、悪いことばかりではなく、すでに触れた働き方が根本から変わったことに加え、まだまだ先だと思っていた未来の技術がもう手の届くところに近づいてくるという未来志向の変化ももたらしました。AIの積極活用、量子コンピューティングの著しい進歩、医療現場の硬直性を根本から破壊し、より現実にあった医療を作るきっかけも与えました。そして、自国中心主義・ブロック化が進む中、知識・サイエンスが世界を再び協調の方向へと連れ戻してくれました。また政府もその役割を再定義するチャンスに恵まれました。

恐怖のウイルスと疾病に見舞われたこの不幸な2020年からも、何かしら良きことが生まれてくることを証明してくれた気がします。

私自身ですが、紛争調停官・交渉人としてのキャリアの中で初めて、海外出張や現地訪問を完全に封じられ、これからどのように仕事をしていけばいいのか、非常に悩み続けた1年でした。また、コロナの“おかげで”戦争はなくなるだろうと期待されていましたが、実際にはその逆で、紛争・戦争は世界各地で勃発し、コロナですでに弱った人々の心をより傷つけ、希望を奪おうとしました。光栄にも(!?)それらの紛争の多くに調停官として関わる機会を得ましたが、ほとんどの協議や調整をオンライン・リモートで行うという未知の経験をして戸惑った挙句、最後の決め所で、当事者たちが「やっぱり合意はface-to-faceでやりたい」という方向に流れ、合意・解決目前でon holdになっているケースも多くあります。もどかしさを感じ続けた1年でした。

しかし、世界の他の皆さんと同じく、家族と一緒にじっくり過ごす時間を取り戻し、いろいろと語り合い、行動を共にする中で、これまでにない深い家族としての絆を感じましたし、世界中の友人たちとも画面越しではありますが、いろいろと語る機会を得て、多くの気づきを得ました。また自分と向き合う時間も持てましたし、これまで忙しくてなかなかできなかった他方面への関心も深め・広めることが出来たように思います。仕事・収入も激減し、将来への不安が襲ってくる中、いろいろと未来に向けての希望の種を見つけた時間でもありました。まさしく不安の中に、良いことを見出すことが出来た時間だったと、私なりに今、振り返って思います。

このコーナーで取り上げる国際情勢についても、表向きは未知のウイルスとの戦い、見えない敵との戦いに不安を感じ、次々と人々の命を奪い、助かったとしても重篤な健康障害を残す状況に加え、経済活動が止まることで、国々の間の連携も途絶え、各国ともとても内向きの雰囲気に変わりつつありました。それを機に、ポピュリストたちが人々の不安を煽り、自分たちの権力基盤を固めようとする動きも各地で見られました。

確実にCOVID-19による世界的なショックは、私たちが生きる国際情勢も根本から変えようとしています。内向き傾向が強まり、未曽有の危機に直面しても、助け合うどころか、隣国との協力を拒む姿勢が横行して、世界は戦争勃発前夜とまで例えることが出来るほど、心理的な状況が悪化したように思われました。

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 開戦か、大恐慌か。世界で新型コロナが爆発させた怒りのマグマ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け