総裁選“真の勝者”は安倍氏。「小石河連合」阻止に元総理が動いたワケ

shutterstock_415949860
 

自民党総裁選は岸田文雄氏が勝利し、4日には第100代内閣総理大臣に選出されました。小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さんは、前回記事で投票を迷っている61票が河野氏勝利につながると予想。今回のメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』では、予想が外れた原因として、安倍晋三元総理による「小石河連合」阻止への執念が想像以上だったと、執念の理由とともに綴っています。また、「安倍vs.菅」で敗れた菅前総理の今後についても言及し、このままで終わる政治家ではないと反主流派の黒子としての復権を予想しています。

総裁選の勝者は安倍氏/「死に体」菅氏は復権してくる!

自民党新総裁に岸田氏が選ばれた。今回の自民党総裁選挙に関して、私自身の予想が外れたことを読者の皆様にお詫びしたい。先週の執筆時点(9月25日土曜日)で、「党員投票の70%以上を河野太郎氏が獲得しないと、決選投票で岸田文雄氏が有利」との分析をする人が多かった。こうした情報を受けて議員心理も揺れ動いていったと思う。

こうしたことから、私は、選挙を間近に控えて党員の意向に敏感な若手議員や無派閥議員が、最終的には河野氏に投票し、僅差で河野氏が勝利すると予想していた。しかし、安倍晋三・元総理の「反・石破」感情の強さは想像以上であったこと、予想以上に河野氏の政治家としての安定感が欠けていたことを見抜けなかった。頼みの党員票でも爆発的な河野氏支持には至らなかった。安倍氏が高市早苗氏を支援したことによる「分断作戦」は成功した。今回の勝者は安倍氏であることは言うまでもない。

安倍氏は、好き嫌いという感情だけで「小石河連合」を阻止したわけではない。「桜の会」問題で、安倍氏は東京地検特捜部の動きに敏感になっているという情報がある。仮に河野政権になり、石破茂法務大臣にでもなろうものなら特捜部にゴーサインを出しているようなものである。安倍氏にとって、何としても石破氏の復権は避けなければならなかったのだ。

さて、今回の総裁選挙の構図は「安倍vs.菅」であったと思う。菅義偉氏は、自分を支えてくれなかった安倍、麻生太郎両氏に対抗して、河野氏の後ろ盾となり、キングメーカーとしての地位を確保しようとした。小泉進次郎、石破両氏を巻き込んだ「小石河連合」を実現させ、不仲になった二階俊博・前幹事長とも連携し、河野政権誕生を画策したが叶わなかった。

総理を辞めた後はしばらくは「死に体」だが、いずれ菅氏は復権してくると私は思っている。もともと黒子であってこそ力を発揮する政治家だからだ。

岸田新総裁による党人事で、河野氏は広報本部長に「降格」、二階派は党4役の一角も取れなかった。石破氏も小泉氏も党4役に入れず、大臣就任の目もない。第2次安倍政権発足以来、反主流派は石破氏一人と言っても過言ではない状態が続いてきが、今後は流動化するだろう。

image by:Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com

石川ともひろこの著者の記事一覧

1973年北海道足寄町生まれ。函館ラサール高校、早稲田大商学部卒。96年2月から2005年7月まで小沢一郎秘書。同年衆院選で北海道11区から民主党公認で立候補して中川昭一氏らを相手に落選、07年3月に繰り上げ初当選。09年再選。10年1月、政治資金規正法違反容疑で逮捕、同年2月に起訴。12年12月、三選。同年5月、議員辞職。2017年10月、妻・香織が衆院議員に初当選。同月、公民権が回復。政界復帰に向け、コツコツと活動中!!! 著書『悪党』は5万部を超える大ヒット作に。そのほか、『雑巾がけ』など著書多数。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 石川ともひろの永田町早読み! 』

【著者】 石川ともひろ 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎月 第1日曜日・第2日曜日・第3日曜日・第4日曜日

print
いま読まれてます

  • 総裁選“真の勝者”は安倍氏。「小石河連合」阻止に元総理が動いたワケ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け