安倍・麻生というゾンビに取り憑かれた自民党・岸田新政権の前途多難

takano20211005
 

激戦の総裁選を制し、悲願であった総理の座を手にした岸田文雄氏。しかし、自ら「新時代共創内閣」と呼ぶ人事は一部で「忖度人事」と酷評されるなど、早くも前途を危ぶむ声が聞かれる状況となっています。果たして新内閣も前政権同様、短命に終わることになるのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、岸田氏の総裁選での「勝ち方」に問題があったと指摘。その結果として安倍、麻生、甘利各氏に足元を見られる事態に陥るとし、「すでに岸田政権の失敗は始まっている」と結論づけています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年10月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

断ち切られた自民「党風一新」の芽

客観的には、今回の自民党総裁選のテーマは明らかで、ただ長いだけが取り柄だった安倍晋三政権とその蛇足でしかなかった菅義偉政権の計8年10カ月の間に、ヘドロのように堆積した黒い沈澱物や茶褐色の老廃物をきれいサッパリ大掃除して、若々しく爽やかな保守政党として再生することが可能なのだという姿を国民に強烈に印象づけることにあった。

それには、何のかのと言ってもやはり河野太郎と小泉進次郎の、新鮮ではあるがやや危なっかっしい人気抜群のコンビを、政策通の苦労人である石破茂が下支えするという構図は悪くなかったのだが、それが奏功するにはいくつもの条件が欠けていた。

安倍に擦り寄るという河野の余りの政治音痴

まず第1に、河野自身が安倍・麻生に擦り寄って支持を得ようとして、森友疑惑について「再調査は必要ない」と言い、また持論である脱原発のトーンを弱めて「安全な原発は再稼働する」と言ったりした。これは決定的にまずかった。特にモリカケサクラ疑惑に関しては、安倍・麻生が説明責任を回避し、国会も出来るだけ開かないようにして逃げまくってきたことが国民の政治不信の大きな要因となってきた訳で、ここは野田聖子のように「多くの国民が納得していないので支持率の低下は当然。信頼回復には、二度と起きないよう調査をする必要がある」と明解に言い放つことで対抗軸を形成しなければならなかった。

1年前に安倍・麻生は、「菅ならモリカケサクラ隠蔽の共犯者だからそこを暴くことはない」という理由で菅政権を支持したのだが、まさにその「説明責任拒絶」の隠蔽政治の業を背負わされたことが大きな要因となって菅は短命に終わった。そして今また、もはやゾンビと化した安倍・麻生が「岸田ならそこに手を突っ込んでくることはない」という不純な動機で岸田政権を作ろうとしている時に、河野が「いや私も再調査はしませんから大丈夫、支持してくださいよ」とにじり寄って行くのは、馬鹿げているという以上に、この局面でどういう磁場を形成すべきなのかを理解できていない政治音痴である。

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