超円安で「第3の敗戦」必至。ニッポンをどう復活させれば良いか?

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先日掲載の「止まらない日本の貧困。迫りくる超円安で3%の賃上げなど不可能な現状」でもお伝えしたとおり、もはや不可避とされる日本人の貧困化。そんな絶望的とも思える未来を迎えるにあたって、私たちはどのような備えをなすべきなのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、その有力な対処法を丹念に考察。理想形として「江戸時代への回帰」をキーワードに挙げ、自給自足経済の実現を訴えています。

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日本再生戦略:超円安で始まる日本復活

米国は早期の利上げになり、日本は量的緩和継続で超円安になることが確定的になっている。このため、海外投資家は日本株から撤退している。この将来を検討しよう。

米金利上昇により超円安になる第3の敗戦が迫っている。1回目は太平洋戦争に負けた時であり、2回目はバブル崩壊とクリントン政権下での日本バッシングと日本企業の日本離れであり、今回は3回目の敗戦になる。

2回目の敗戦からの復活のために、工業の衰退と引き換えに観光業を活性化してインバウンドで生き延びてきたが、コロナ禍でインバウンドが壊滅して、日本は瀕死の重症状態になって、貧困化が急激に拡大している。米国金利上昇でも日本は量的緩和を止めることができない。

このため、日米の金利差から超円安になり、海外からの輸入品物価が急騰して、日本国民の生活レベルは落ちていくことになる。敗戦必至の状態だ。

貧富の差が拡大したことで、富のサイドにいる政治家や大企業の社員はわからないだけである。十分な教育が受けられない人が多く存在している。日本企業も日本市場だけでは生き残れないと思って、日本離れを加速している。

トルコのエルドアン大統領が、世界が利上げに向かっているのに、利下げを主導して、トルコリラ安が半端なく、1トルコリラ=8円まで下落した。20年前には1,000円であったことを考えると、隔世の感がある。このため、トルコからの輸出は30%以上伸びている。しかし、石油を輸入に頼っているので、輸入も多くなって、国民はインフレで大変であるが、企業は売り上げを伸ばしている。

日本も、これと同じ現象が起きることになる。世界の利上げについていけなく、超円安になるからだ。韓国は利上げをしたが、ウォンは安い。これはマイナス金利の短期日本国債を買うからである。為替介入を頻繁に実施して、ウォン安を獲得している。米国市場で日本企業との競争に勝つためである。

これと同じようにアジアの中央銀行は、円高を狙った円買いを行っている。為替操作だ。このため、円は実力以上の高い通貨になって、輸出ができずに、日本企業は海外での工場建設を急ぎ、日本離れになっている。それを海外の国は狙っているからだ。

しかし、この状況を変えないと、日本は没落してしまうことになる。短期国債のマイナス幅を上げて、長期国債の金利をゼロにして、円安環境を作るしかない。超円安にするしかない。

為替操作ができないと財務省は思っているが、米ドル以外の通貨に対しては、為替操作はできるはずで、韓国や東南アジアや中国の通貨に対して、円買い介入をするなら、それと相当額分を買い入れればよいのである。そうすれば、為替介入を相殺できるからである。

そして、超円安にしてでも、日本企業の海外工場を再度、日本に戻すことが最初にするべきことである。この政策後、次に企業の技術開発資金援助を行い、特に戦略的な研究に資金を支援するべきである。

その技術開発が成功時にロイヤリティを国が受け取り、基金を継続できる体制が必要である。この時、日本に来る企業にも基金を使えるようにして、海外の優秀な研究者・経営者も招き入れることである。

日本は敗戦を意識しないと、立ち直れないことになっている。この30年以上、日本は中途半端な政策を行い、ことごとく日本を衰退に向かわせた。

皆が敗戦を意識して意識改革を行い、東南アジア諸国、中国、韓国を助けるのではなく、強い競争相手と意識して、対応処置を打つことも辞さないような政策で、出直しをすることしか、日本を救えないような気がする。

日本は、この20年以上、新しい発明がないからである。ここまで来ると、発明やイノベーションに期待しないで、今の技術を安価に作ることで、足場を固める必要があるのだ。

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