まるで地獄。ウイグル収容所で受けさせられる中国“再教育”の残酷な全容

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最近、中国の前副首相との不倫関係を告白した直後に連絡が取れなくなった女子テニス彭帥選手が安否不明になった件は世界中で報じられました。中国では、国にとって都合の悪いことを発言したり行動を起こす人が行方不明となり、その情報が消されてしまうことは珍しくありません。無料メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』では、 中国政府によって長年「弾圧」を受けてきた新疆ウイグル自治区で『再教育』を受けた女性の衝撃的な告発本を紹介しています。

【一日一冊】ウイグル大虐殺からの生還 再教育収容所地獄の2年間

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ウイグル大虐殺からの生還 再教育収容所地獄の2年間

グルバハール・ハイティワジ 著/河出書房新社

元中国の政治局常務委員チャイナ・セブンの一角であった張高麗との不倫関係を告白した後、女子テニス選手彭帥(ペン・シューアイ)と連絡が取れなくなったという事件を知って手にした一冊です。

中国では都合の悪い人はすぐに逮捕されて行方不明になってしまいます。ウイグルでは100万人規模の収容所が建設され、中国の説明では再教育や職業訓練が行われているというのですが、実際にはどうだったのでしょうか。

著者は、夫がフランスに亡命したことから、娘たちと2006年フランスに移住しました。それから10年後、娘はフランスで結婚。その3ヶ月後、なぜか元の職場から退職の手続きのために帰国してほしいという連絡が来たのです。

手続きだけならと、懐かしい故郷に帰国したらすぐに著者は警察に連行されてしまいます。取り調べでは、娘がフランスで中国のウイグル弾圧を抗議するデモに参加している写真を見せられ、「娘はテロリストだな」と取り調べを受けます。その後、著者は7年の再教育の判決を受けてしまうのです。

おまえたちは犯罪者だ。犯した罪を自白さえすれば、党に許してもらえる。そうしたら解放してやる」と日がな一日、聞かされる。(p119)

2年以上の職業教育訓練センターという収容所で、終わりのない尋問と暴力、薬の入った食事により衰弱していく著者はついに敗北します。

フランスウイグル協会はテロリストです。新疆ウイグル自治区は中国のおかげで発展しています。中国を批判するのはやめて。ウイグルについてSNSの投稿はすべて削除して。

著者は中国当局の言われるがままに行動するようになってしまったのです。それと共に増える自由と、スパイや裏切り者と見られることに著者は悩み続けることになるのです。

拘束されたまま自由で胸を張って死んでいくのと、自分の嘘にまみれ、人々のがっかりした視線にさらされて恥を感じながら生きていくのと、どちらがよいのだろう。(p184)

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