吉村知事の“肝いり”が次々と失敗。60億円かけて利用者たった300人、コロナ施設閉鎖が物語る大阪が死者数トップのワケ

2022.05.30
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by たいらひとし
吉村大阪府知事②
 

新型コロナウイルスの感染者数が全国的に減少し、海外旅行の出入国規制が6月から緩和されるなど、少しずつ明るい兆しが見え始めてきた。そんな中、大阪府が新型コロナウイルス対策で開設した国内最大の臨時医療施設「大阪コロナ大規模医療・療養センター」(大阪市住之江区)が、5月末で閉鎖されることがわかった。読売新聞が報じた。約60億円をかけて設置された施設だけに、吉村洋文知事の責任を追及する声が上がっている。

天下の愚策で60億はドブに 死者数が全国最大の大阪

国内最大の臨時医療施設「大阪コロナ大規模医療センター・療養センター」の開設を吉村知事が表明したのは昨年8月下旬。折しも第5派のデルタ株が猛威をふるい、自宅待機のまま症状が悪化して死亡する30代から50代の患者が相次いだ事態を受けてのことだった。

約60億円をかけて大阪・南港の大展示場「インデックス大阪」に無症状800床と中等症用200床を整備し、オミクロン株の流行を受けて、1月30日から運用を開始した。

しかし、実際はほとんど活用されず、読売新聞によると3カ月の稼働期間の間、利用者はわずか累計303人。ワクチン接種が進んだため重症化率が激減し、消灯時間など制約のある施設利用は敬遠され、ほとんどの人が自宅療養を選んだことが理由とされる。

一方、初期感染の初動の治療が遅れ、死亡に至るケースが相次ぐ不手際も多発している。

5月29日の朝日新聞では、大阪市保健所が感染者が86人の処理が適切に行われず、対応に1週間遅れたと報じた。府民のデータを管理するエクセルのファイルが不具合で移行できずに対応できなかったというお粗末な理由だ。

これは氷山の一角で大阪府全体の保健所が機能不全に陥っている裏づけとなる。

コロナ大規模医療センターでも高齢者の受け入れを模索したが、介護スタッフの確保や施設の段差などの問題を解消できず、受け入れを断念したという。

吉村知事は7月から、今度は新たに約20億をかけて、大阪区住之江区に新築の福祉施設1棟を借り上げて、高齢者向けのコロナ臨時施設を作ると公表している。目論見通りに機能するかどうかは未知数だと言わざるを得ない。

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感染者死亡ワースト1位を高齢者率を言い訳にしたが

オミクロン株の発生した2月には、大阪のコロナ死亡者数はついに東京を上回ってワースト1位になった。

この原因を吉村知事は「大阪の方が高齢者率と三世帯同居率が高いから」、「若者と年寄りが密着しやすいから」などと説明。そうしたことから、大阪よりも高齢者率と三世帯同居率が高い感染者数が増えていた都道府県の住民は死亡リスクが高まるのを警戒した。

ところがふたを開けてみれば、大阪のような勢いで死亡者数が増えることは実際にはなかった。

大阪よりも人口あたりの感染者比率が高く、高齢者率・三世帯同居率が高かった福井県でも死者数は増えなかった。つまり、大阪の死者数だけが飛び抜けて多いのだ。

改善すべきは施設を増やすことではなく、機能不全に陥っている保健所とコロナ患者の入院する手続き対応だといえるかもしれない。

大阪府と大阪市はカジノが含まれるIR施設の誘致を計画しているが、5月26日大阪の市民団体が誘致の是非を問う住民条例制定に賛同する署名が直接請求に必要な数14万6千人を突破したと発表した。

その背景には、もともと否定的な意見が多いだけではなく、昨年12月にリゾート整備費に約790億円かかると発表した試算が、翌1月には2300億円の追加費用がかかることが明らかになるなど、認識の甘さや対応のまずさも影響しているとみられる。

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失策をしても言い訳ばかりで自らの責任をとらない吉村知事。今度の失敗は60億円では済まないかもしれない。

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