お金のプロが警告。退職金をつぎ込んではいけない7つの地雷投資

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充実した老後の生活を送るために重要となってくるのが、退職金の賢い運用。しかし一歩間違うと、悲惨な暮らしを余儀なくされることも十二分にあり得ます。そんな事態を避けるためのヒントをレクチャーしてくださるのは、株式会社Money&You代表取締役で資産運用のプロ・頼藤太希さん。頼藤さんは今回、7つの「退職金でやってはいけない投資」を挙げ、各々についてその理由を詳しく解説しています。

退職金でやってはいけない投資 7つの地雷商品

まとまった金額の退職金でも、当然使えばなくなってしまいます。そこで、投資して増やしたいと考える人はたくさんいます。銀行・信用金庫などの金融機関は、退職金が振り込まれたことは事前に把握できますから、「資産運用をしませんか?」などと、商品の提案をしてくることも少なくありません。

しかし、投資なら何でもお金を増やせると思ったら大間違いです。なかには、退職金を減らす可能性の高い投資もあります。金融機関が提案してくる投資商品の中にも損する商品があります。今回は、退職金でやってはいけない投資をご紹介します。

■退職金でやってはいけない投資その1:不動産投資

まとまった資金ができると、不動産を購入して「大家さん」になろうとする方が多くいます。確かに、大家さんになって、部屋を人に貸せば毎月安定した家賃(賃貸収入)を得られますし、不動産が値上がりすれば売ることで売却益も得られます。

しかし本来、不動産投資は現役時代に住宅ローンを組んで不動産を購入し、賃貸収入からローン返済し、毎月の収支が黒字になるのが理想です。定年後に不動産投資をするとなると、住宅ローンはなかなか借りられないため、不動産を退職金で一括購入することになりがちです。

するとたとえば、2,500万円の物件を購入して家賃10万円で貸し出したとしても、元を取るまでに単純計算で20年以上かかってしまいます。しかも、もし入居者がいなければ、その間の家賃収入は得られないため、元を取るまでの期間はさらに長くなってしまいます。

お金が急に必要になったからと言って、不動産を現金化するとしても、どんな優良物件でも1か月程度の時間はかかります。そもそも売りたいときに売れないこともありますし、希望価格で売ることができないということもあります。こういったリスクを「流動性リスク」といいます。

不動産投資自体は、悪い投資ではありません。しかし、定年後に行う投資としては不向きで、退職金を減らす可能性の高い投資だといえるでしょう。

■退職金でやってはいけない投資その2:毎月分配型の投資信託

毎月分配型の投資信託とは、文字どおり分配金を毎月支払ってくれるタイプの投資信託です。不動産投資の家賃収入と同様に毎月お金が受け取れますし、分配金がたくさんもらえるならお得だと思われるかもしれません。

しかし、毎月分配型の投資信託は、運用で利益が出なかったときは元本を取り崩して分配金を支払ってしまいます。そうすると、分配金を支払った分だけ投資信託の元本が減ってしまうのです。投資信託の元本が減ると、値上がりしたときの恩恵も少なくなってしまいます。

退職金をもらう60歳の平均余命は、「令和3年度簡易生命表」によれば男性約24年、女性約29年となっています。まだまだお金を増やしていく時期です。取り崩す時期は70歳・75歳になってからでも遅くはありません。

また、複利効果の面から考えると、分配金は受け取るよりも再び投資に回したほうが効率よく資産を増やせるでしょう。毎月分配金として受け取ってしまうと、複利効果を生かすことができなくなってしまいます。

さらに、毎月分配型の投資信託は信託報酬などの手数料が高く設定されているのも問題です。自分のお金を預けて、高額の手数料を支払いながら、預けたお金の一部から取り崩した分配金を受け取るというのでは、とても割に合いません。

銀行・信用金庫・証券会社などの金融機関が提案してくる場合は、この手数料が目当てである可能性が高いでしょう。

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