同性「事実婚」に法的保護=パートナーの不貞認め賠償命令-宇都宮地裁支部

2019.09.18
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by 時事通信

 同性パートナーと米国で結婚し、「事実婚」にあった30代女性が、相手の不貞行為により破局したとして、慰謝料など約630万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、宇都宮地裁真岡支部であった。中畑洋輔裁判官は「同性カップルでも実態に応じ一定の法的保護を与える必要性は高く、内縁関係に準じた保護を受けられる」として、別れた相手に110万円の支払いを命じた。
 原告側の代理人弁護士によると、法律で婚姻が認められていない同性カップルに法的保護を認めた初の判断とみられ、「画期的な判決。同性婚をめぐる訴訟や立法措置にも影響する」と評価した。
 中畑裁判官は、価値観や生活形態の多様化から「婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じがたい状況にある」と指摘。憲法は婚姻を「両性の合意のみに基づく」とするが、制定時には同性婚が想定外だったとし、「同性婚を否定する趣旨とまでは解されない」と述べた。
 その上で、2人の関係を「男女間の婚姻と同視できる」とし、被告女性の不貞行為を認めた。一方で、「保護の程度は男女と差異があると言わざるを得ない」と述べ、慰謝料を減額した。
 判決によると、2人は2010年から同居し、14年に米国で婚姻証明書を取得。日本で結婚式も挙げたが、17年に精子提供に応じた男性と被告女性の不貞行為が発覚し、関係が破綻した。
 原告の女性は弁護士を通じ、「同じ理由で泣き寝入りする人が減れば大変うれしい」とコメント。弁護士は会見で「準内縁となる要件の明確化や、異性婚との差については今後の課題」と述べた。
 被告女性の弁護士は「主張が認められず厳しい判決。控訴について協議したい」とコメントした。(2019/09/18-20:17)

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