ビール切らすな、特需沸く=ラグビーW杯と駆け込み消費
20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)では11月2日までの開催期間中、欧州やオーストラリアなどから延べ約50万人に上る観客が訪れる。ビール業界や全国12会場、周辺飲食店では「サッカーの試合の6倍」とされる海外ファンの桁違いのビール特需に沸いており、「品切れ回避」を合言葉に増産体制などを敷いて乗り切る構えだ。
英国などでは観戦前から終了後までビール片手にラグビー談議に花を咲かせることで知られる。大会組織委員会では、競技会場だけで1試合に10万杯(350ミリリットル換算)が消費されるケースもあるとみており、事前に開催自治体や飲食店関係者らに、品切れは海外ファンの苦情を招きかねないとして万全の備えを呼び掛けた。
ビール・飲食店業界は既に臨戦態勢に入っており、公式スポンサー「ハイネケン」を国内向けに生産するキリンビールは9~11月で前年比2.2倍の販売を目標に、9月はハイネケンを同3.4倍増産するなどフル稼働で開幕を迎える。
英国風パブを全国展開する「ハブ」(東京)は「満員の客入り」(広報)を見越し、競技会場の近隣店舗などで通常より最大7倍程度のビールだるを準備。居酒屋チェーン運営のモンテローザ(東京)は「白木屋」など約1500店で出場国の料理とビールを提供し海外ファンをもてなす。
来月1日の消費税率10%への引き上げを控え、軽減税率対象外のビールは駆け込み消費が見込まれる。W杯特需と並行し、ビール各社は定番銘柄のまとめ買いを想定しており、サントリービールとサッポロビールは割安な「第三のビール」を含め、9月に前年に比べ約1割増産。アサヒビールも「スーパードライ」缶商品を2割程度増やして消費税増税に臨む。(2019/09/20-07:57)