自民、改憲論議の進展狙う=野党内に温度差、公明も慎重-臨時国会

2019.09.20
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by 時事通信

 10月4日召集の臨時国会は、首相の悲願である憲法改正に向けた論議が動きだすかが焦点となる。自民党は、憲法9条への自衛隊明記を柱とする党改憲案の提示を目指すが、前提となる国民投票法改正案の扱いをめぐり与野党の溝は埋まっていない。会派合流で合意した立憲民主、国民民主両党も温度差を抱え、改憲論議の行方は不透明なままだ。
 憲法改正国民投票の利便性向上を図る国民投票法改正案は継続審議の状態が続く。立憲と国民がCM規制の議論を優先するよう求めているのに対し、自民党は消極的なためだ。同党の国対委員長は19日、国会内で記者団に「(改正案の)審議をぜひ進め、結論を出してほしい」と述べ、臨時国会での成立に向けた野党の協力に期待を示した。
 首相は11日の記者会見で、憲法改正を「必ずや成し遂げる」と表明した。自民党は今国会中に国民投票法改正案を成立させ、9条改正など改憲の具体的項目の議論に入りたい考え。衆院憲法審査会長ポストに国対経験が長く、野党とパイプがある元総務相を起用して打開を図るが、接点は見通せない。自民内には「会長の職権で進めるしかない」(閣僚経験者)との強硬論が残る。
 一方、野党第1党の立憲は次期衆院選に向け、安倍政権下での改憲を阻止する姿勢を一段と打ち出す構えだ。代表は19日、国民などとの会派合流の合意後、記者団に「今までより何倍も力強く国会論戦に臨める」と述べ、首相との対決色を強める考えを示した。
 ただ、国民の代表は「野党もいたずらに審議拒否をしないことが大事だ」と話しており、会派内で足並みが乱れる可能性がある。自民党幹部は「またばらけるだろう」と再分裂を予想した。
 公明党は国会での憲法論議は否定しないものの、「9条は無理だ」(関係者)との立場。自公間にも歩調が乱れる素地がある。
 衆院憲法審査会の与野党議員は19日、憲法改正に関してドイツなど欧州への視察に出発した。自民党には審議促進につなげる狙いがある。(2019/09/20-07:09)

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