軽減税率でも負担増年5万円=節約志向進む?-消費増税

2019.09.29
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by 時事通信


 消費税率10%への引き上げにより、家計の負担は平均で年間5万円近く増加するとみられる。政府による負担軽減対策が講じられるが、効果は年収や家族構成によって濃淡がさまざま。幼児教育無償化の対象となる子育て世帯は恩恵にあずかる一方、高齢者や単身者にはメリットが少ない。酒類を除く飲食料品の税率を8%に据え置くが導入されるものの、「痛税感」の強まる家庭では、節約志向が進むと予想される。
 総務省の家計調査を基にファイナンシャルプランナーの柏木真一氏が試算したところ、年収約650万円程度の「2人以上勤労者世帯」で、月平均4000円程度の支出増になるという。1カ月の支出を約30万円と見込み、外食や日用雑貨など消費税増税の対象となる支出は約20万円。その額の2%分が新たな税負担としてのしかかる。
 10月から中小店舗でのキャッシュレス決済で最大5%のポイントが還元される。ただ、柏木氏は「毎日の買い物を大手スーパーでしている多くの人が、わざわざ別の中小スーパーに行くか疑問だ」と指摘。ポイント還元の効果を1カ月2000円が限界と分析し、「増税を機に家計を見直し、無駄な支出をなくす方が良い」と語る。
 3~5歳児を抱える世帯は、幼児教育の費用が原則として無料となるため、消費税増税による負担増を相殺できる。住民税の非課税世帯では0~2歳児も無償化の対象になるほか、来年4月には年収約380万円未満の世帯向けに大学など高等教育の入学金・授業料の支援措置が始まる。
 日本総研の小方尚子主任研究員によると、一連の施策により、年収250万円の2人以上世帯では、平均で年約13万5000円の負担軽減効果がある。一方、年収約200万円の年金受給世帯では支援給付金を受け取っても、負担軽減額は年3万円程度にとどまる。(2019/09/29-07:23)

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