タトゥーで温泉に賛否=ラグビーW杯訪日客に「理解を」-大分・別府

2019.10.02
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by 時事通信

タトゥーのある人の入浴を断る温泉施設の掲示=9月13日、大分県別府市鉄輪の温泉「鬼石の湯」

タトゥーのある人の入浴を断る温泉施設の掲示=9月13日、大分県別府市鉄輪の温泉「鬼石の湯」

 日本で初開催されているラグビーワールドカップ(W杯)では、約40万人の訪日観光客が見込まれる。タトゥー(入れ墨)が文化、風習、ファッションとして定着する国も多いが、日本では反社会的勢力と結び付けられてきた歴史があり、文化的な隔たりは大きい。「裸の付き合い」をする温泉地の反応は?
 日本有数の温泉地・別府を抱える大分県では、2日のニュージーランド対カナダを皮切りに、W杯5試合の開催が予定されている。別府市内には400カ所近い温泉があるが、うち約300を占めるホテルや旅館など民間施設の多くは、家族風呂を除き「タトゥーで入浴はお断り」だ。
 市旅館ホテル組合連合会の堀精治専務理事は「子どもに見せたくないという利用者の声がある。日本人客に嫌われたら困る」と理解を求める。3年前に大浴場でのタトゥーを禁止した同市鉄輪の日帰り温泉「鬼石の湯」の担当者は、「(外国人には)理解してもらえていると思う」と話す。


別府市内の観光地案内所で配布されているタトゥー入浴の可否を示したパンフレット

別府市内の観光地案内所で配布されているタトゥー入浴の可否を示したパンフレット

 一方、残る約100カ所の市営温泉などはタトゥーでの入浴を認めている。市温泉課は「市民の生活衛生を保つ公衆浴場。断る法的根拠はない」と説明する。100年以上の歴史があるという市営温泉「竹瓦温泉」を訪れたポーランド人旅行者アンナ・ラビエガさん(30)は、「日本の温泉はタトゥー禁止なのに、ここは大丈夫なんて面白い」と話した。
 全身に入れ墨がある日本人の会社員男性(68)は、別の市営温泉に入浴後、「W杯でたくさん外国人が来る。旅館やホテルは入浴を認めるべきだ」と訴えた。
 同連合会はW杯に合わせた10月限定で、加盟ホテルなどにタトゥー解禁を要請することも検討したが、日本人利用客の強い反対で見送った。「タトゥーの人には市営温泉を案内する」との方針を維持し、2020年東京五輪などを見据え、今後も検討は続けるという。
 大分県は3月、タトゥーでも入浴可能な温泉を紹介する英語サイトを開設。「日本は急速に広がる多様な文化を理解する必要がある。見守っていてください」とサイトで呼び掛けている。(2019/10/02-13:29)

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