スーパー品薄相次ぐ=台風19号上陸直前、各地で備え-駅や観光地も混乱

2019.10.11
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by 時事通信

台風を前に薬局で売り切れになった水のペットボトル=11日午後、名古屋市中区

台風を前に薬局で売り切れになった水のペットボトル=11日午後、名古屋市中区

 台風19号の接近を受け、関東や東海など各地のスーパーやホームセンターでは11日、非常時に備え食料品を買い込む動きが広がった。3連休を当て込んだ観光地の宿泊施設は休業を余儀なくされ、空港や駅では交通の乱れも見られた。
 「カップラーメンの売れ行きは普段の3~4倍」。首都圏で約120店舗を展開する食品スーパー大手ライフコーポレーションの担当者はこう話す。連休中の分まで肉や魚などの生鮮食料品を買っていく客も多いという。
 ▽果樹園、前倒し収穫
 大手ドラッグストアチェーン「スギ薬局」の名古屋市内の店舗は、本部の指示で即席麺、乾電池などを普段より多めに仕入れた。9月の台風15号で、千葉県で大規模な断水が起きたこともあり、飲料水のペットボトルは瞬く間に棚から消えた。昼休み中に夫と訪れた40代の会社員女性は「断水に備え水を買いに来た。停電になると子どもが怖がるので乾電池も買う」と話した。
 台風の接近が懸念される観光地、静岡県熱海市の宿泊施設では、連休中の予約が相次ぎキャンセルされた。昨年7月の台風の際、高波で食堂のガラスが割れたホテルニューアカオは12日の休業を決め、窓を養生テープやベニヤ板で補強した。
 赤ワイン用のブドウが最盛期を迎えた山梨県甲州市の「甲斐ワイナリー」では、予定を2日早め収穫作業を急いだ。強風で房が落ちたり、水を吸った果実が割れたりする恐れがあったといい、栽培責任者の風間聡一郎さんは「週末に常連のボランティアと一緒に収穫する予定だったが…」と残念そうに話した。
 ▽イベント中止に落胆
 JR新大阪駅では「兄が危篤」との知らせを受け、東京都内へと急ぐ大阪市鶴見区の堀口守正さん(72)が「絶対にきょう中に着きたい」と緊迫した様子で話した。13日に娘の結婚式があるという神戸市北区の古加原直恵さん(68)は、予定を1日早めて神奈川県小田原市へ。「花嫁のブーケを前もって手作りする。何が何でもきょう行かなければ」と用意した花束を掲げた。
 JR名古屋駅では、日本を旅行中のスコットランド人の男性(26)が、観戦予定だった三重・鈴鹿サーキットでの自動車F1シリーズが中止になったと残念がった。13日のラグビーワールドカップ(W杯)日本-スコットランド戦を見るため、11日中に東京へ戻るという。
 羽田空港でも乗客が長い列をつくり、搭乗便変更への協力を求める航空会社のアナウンスが流れるなど、慌ただしい雰囲気。札幌市から旅行に来たパート職員十亀恵子さん(56)は「予定を1日前倒しして帰る。年に一度の同窓旅行なのにもったいない」と話した。(2019/10/11-19:32)

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