「年内解散」与野党に臆測=改憲争点、引き締め狙いも

2019.10.13
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by 時事通信


 首相が11月にも衆院解散に踏み切るとの見方が与野党でささやかれている。憲法改正に向けた国民投票法改正案の今国会成立のめどが立たなければ、改憲の是非を争点に掲げ、事態打開を図るとの見立てだ。ただ、こうした臆測は今のところ一部にとどまっており、同改正案をめぐる神経戦の側面が強い。
 9日夜の首相公邸。与党国対幹部との会食の席上、自民党の国対委員長は「野党から『年内解散』説がまことしやかに流れている」と国会の状況を報告した。これに首相が2012、14年衆院選の実施時期を念頭に「12月はこれまでも勝っている」と思わせぶりに答えたことから、与党内に波紋が広がった。
 4日に開会した今国会では、首相の憲法議論の呼び掛けに野党が早くも反発。憲法審査会での国民投票法改正案の審議の行方は見えないままだ。自民党関係者は「野党が応じなければ解散はあり得る」とけん制する。
 公明党内では、11月14、15両日の皇室行事「大嘗祭」後の衆院解散、「12月3日公示-15日投開票」との選挙日程を予想する向きもある。与党側には早期解散をちらつかせ、野党の動揺を誘う狙いもあるとみられる。
 一方、会派合流にこぎつけた野党側も強気だ。立憲民主党幹部は「対立軸を明確にするため、憲法を争点に解散してほしい」と挑発。別の同党幹部も「9条で解散を打ってくれば、こちらはみんな固まる。覚悟があるのか」と引き下がらない。
 「年内解散」説を広げているのはもっぱら野党側。会派の結束に向け、引き締めを図る思惑ものぞく。
 ただ、解散には与野党ともにリスクが伴う。自民党の場合、先の参院選結果を次期衆院選に当てはめると「現有から65~70議席減らす」との分析もある。公明党や日本維新の会などの「改憲勢力」を合わせても、改憲発議に必要な衆院での3分の2を割ることになる。
 野党も選挙準備は遅れている。解散が早いほど候補擁立や小選挙区での候補一本化調整が間に合わない可能性が高まる。
 首相が2021年9月までの自民党総裁任期中に解散を打つとすれば、(1)年内(2)年明けの通常国会冒頭(3)来夏の東京五輪・パラリンピック後などが選択肢となる。自民党のある閣僚は「(解散風を)全く感じない。年内解散はない」と語っており、当面は与野党の駆け引きが続きそうだ。(2019/10/13-06:56)

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