大阪企業「利用されただけ」=北朝鮮への高級車密輸疑惑-弁護士ら調査

2019.10.22
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by 時事通信


 【ニューヨーク時事】米シンクタンク高等国防研究センター(C4ADS)の7月の報告書で、北朝鮮へのドイツ製高級車不正輸出疑惑をめぐり、一部区間の海上輸送関与の可能性が指摘された美濃物流(大阪市)と関連会社・瑞祥(兵庫県)について、美濃物流の依頼を受け事実関係を調べた弁護士チームは、両社が北朝鮮への密輸とは知らずに輸送に関わり、真の荷主の意向を受けた人物に「利用されただけ」と結論付ける報告書をまとめた。
 美濃物流代表の徐正健氏がC4ADSの報告書公表後、弁護士や、国連安保理北朝鮮制裁委員会の古川勝久・元専門家パネル委員に別々に調査を依頼。弁護士は9月27日に報告書をまとめ、要約版がメディアに公開された。弁護士は非公表。
 徐氏からの依頼を機に独自で調査した古川氏も弁護士と同じ結論に至った。古川氏は電話取材に貨物の不正輸出の「黒幕」は、徐氏に接触した中国・大連の女性と、女性に指示を出していた中朝国境付近などで複数の会社を持つ中国人、さらにロシアでのベンツの荷受人とみられるロシア人の3人と指摘。「徐氏は見事に国際詐欺にはめられたようなもの」と語った。
 古川氏は、車の調達役はイタリアにいるとみている。調査でオランダ・ロッテルダムや大連からの荷送り人として浮上したイタリア企業の営業責任者は、フェイスブックに北朝鮮の駐イタリア大使(当時)との写真を投稿していたという。古川氏は調査内容を英語で近く公表する。
 C4ADSの報告書は高級車が昨年、ロッテルダムから大連、大阪、韓国・釜山、ロシア・ナホトカの順で海上輸送された後、ロシアから北朝鮮に空輸された可能性を指摘。美濃物流と瑞祥は(1)ロッテルダム-大連(2)大阪-釜山(3)釜山-ナホトカの輸送で荷受人や荷送り人とされていた。
 これに対し、弁護士の報告書は、徐氏は大連の会社からの依頼で、大連から大阪に到着した車を日本への輸入手続きを経ずにそのまま釜山に送る「積み戻し」の手配を行っただけと認定。徐氏はロッテルダムやナホトカの輸送に関与しておらず、いずれも瑞祥の名義が徐氏には無断で使用されたと判断した。
 ロッテルダム-大連の実際の荷送り人はイタリア企業、荷受人は大連の会社だったが、車の大連到着後に徐氏に無断で瑞祥に荷受人が変更されたという。古川氏によると、大連の女性は荷送り人や荷受人を変更する過程で、文書の偽造を行ったことを認めている。
 弁護士の報告書は、不正輸出に関与しているなら、徐氏が名義をわざわざ瑞祥に変えるとは「考えにくい」としている。C4ADSは疑惑をめぐる報告書公表前に徐氏に連絡を取っていなかった。
 徐氏はC4ADSの報告書を受け、「日米金融機関から資金洗浄容疑をかけられるなど、経営面で大きな影響を受けたが、社員一同で必死に会社を立て直してきた。海外にいる真犯人こそ制裁を科してほしい」と訴えている。(2019/10/22-07:10)

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