日本企業、長期化にいら立ち=英EU離脱に備え粛々

2019.10.27
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by 時事通信

ホンダの英南部スウィンドン工場=2019年2月(AFP時事)

ホンダの英南部スウィンドン工場=2019年2月(AFP時事)

 英国の欧州連合(EU)離脱が10月末から延期される見通しとなり、日本の産業界は混迷の長期化にいら立ちを募らせている。多くの日本企業は10月末の「合意なき離脱」も想定し、在庫確保などの備えを粛々と進めてきた。最悪の事態は回避される公算が大きいが、離脱の道筋は不透明で、企業は警戒感を緩めていない。
 合意なき離脱の場合、英・EU間の物流が混乱し、製造業のサプライチェーン(部品供給網)が寸断される懸念がある。2万~3万点の部品が必要な自動車は特に影響が大きいため、は10月末をにらみ、英工場の部品在庫を通常より3日分多く確保した。
 も部品在庫を積み増すとともに、11月1日には英工場の操業を停止し、不測の事態に備える。ただ、トヨタは在庫を極力持たない効率的な生産方式を採用しており、対応には限界がある。同社は「合意なき離脱になれば、英工場が数週間にわたり停止する可能性がある」と警戒している。
 英国に工場のある製薬大手のは、欧州各地の拠点で在庫を通常の約2倍の最大6カ月分まで積み増した。同社広報は「英・EUの患者への製品供給が滞らないよう万全の対応を取っている」と話す。
 経済産業省と日本貿易振興機構(ジェトロ)は10月、英EU離脱で影響を受ける企業を支援する窓口を設置。英国に進出している部品メーカーなど中小200社を主な対象に、物流混乱への対応について相談に応じている。経産省は「個別の懸念を聞き、他社の取り組みや、制度に詳しい専門家を紹介している」という。
 離脱の方向性が定まらなければ、企業の欧州戦略の検討にも支障が出る。は「今後の英・EUの貿易の関係性について明確な発表を待っている」として、不透明感を早期に払拭(ふっしょく)するよう求めている。(2019/10/27-07:22)

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