長期化見据え予備自衛官投入=台風被害で、東日本大震災以来-防衛省

2019.10.27
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by 時事通信

台風19号の被災地支援で、泥を除去する即応予備自衛官=23日、福島県相馬市(陸上自衛隊提供)

台風19号の被災地支援で、泥を除去する即応予備自衛官=23日、福島県相馬市(陸上自衛隊提供)

 台風19号の被災地支援で、防衛省は自衛隊3万1000人の態勢を組んだのに加え、普段は民間企業に勤めている自衛官OBらから成る即応も招集、投入した。被害が広範囲に及び支援活動が長期化することを見据えた措置で、の招集は2011年の東日本大震災以来だ。
 防衛省によると、これまでに即応計260人以上が活動。宮城、福島、栃木、長野各県などでがれきや泥の撤去、衛生支援などを行っている。状況次第で最大1000人まで招集する。同省幹部は「台風19号に続く豪雨被害で、寸断された道路の復旧や、がれきの撤去作業などがさらに長引く可能性もある」と話す。
 は18年度末時点で約3万4000人(うち女性約2400人)。自衛官OBと規定の教育訓練を経た一般人で構成される。即応予備自衛官は原則陸自OBで約4300人。首相の承認を得て招集される。


台風19号の災害派遣で、駐屯地で医師や看護師として活動する予備自衛官=23日、宇都宮市(陸上自衛隊提供)

台風19号の災害派遣で、駐屯地で医師や看護師として活動する予備自衛官=23日、宇都宮市(陸上自衛隊提供)

 東日本大震災では即応予備自衛官と予備自衛官合わせて計1600人余りが活動した。即応予備自衛官は16年のや昨年9月の北海道地震などでも投入された。
 大規模な水害や地震が相次ぎ、昨年度の自衛隊の災害派遣延べ人数は119万人に上り、東日本大震災後で最多となった。現役自衛官は約22万人で、定員を満たしていない。即応予備自衛官の充足率は約5割、予備自衛官は約7割で人員確保が課題になっている。
 防衛省は招集で職場を離れることに理解を得られるよう、訓練期間が長い即応予備自衛官を雇う企業には1人当たり年間51万円を給付。これとは別に、予備自衛官や即応予備自衛官が招集で職場を離れる場合、雇用企業に招集日数に応じて協力確保給付金を支給する制度も創設した。今回が初適用になり、企業には1人につき日額3万4000円が支給される。
 河野太郎防衛相は記者会見で、「災害時に自衛隊に求められることはこれからも減ることはない。予備自衛官、即応予備自衛官の果たす役割も大きくなってくる。人員確保のために職場のご理解を得られるよう努めたい」と述べた。(2019/10/27-21:34)

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