放射熱で次々延焼か=沖縄・首里城炎上、消防隊近づけず-実況見分開始

2019.11.01
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by 時事通信

首里城の火災現場を調べる関係者ら=1日午後、那覇市

首里城の火災現場を調べる関係者ら=1日午後、那覇市

 那覇市の世界遺産、首里城跡に復元された首里城正殿がほぼ全焼した火災で、火元とみられる正殿から、放射熱によって北殿や南殿に次々と延焼した可能性があることが1日、消防関係者への取材で分かった。木造の正殿から出る放射熱は非常に高温で、消防隊も一時近づけなかったといい、消防は延焼が拡大した一因とみて調べている。
 沖縄県警と那覇市消防局は同日午前、火災現場の実況見分を行い、火元の特定や火が燃え広がった原因などを調べた。消防局は、収蔵する文化財などの状況も調査した。


火災現場の実況見分などのため首里城に入る消防隊員ら=1日午前、那覇市

火災現場の実況見分などのため首里城に入る消防隊員ら=1日午前、那覇市

 放射熱は、遠赤外線の熱線により直接伝わる熱。消防局によると、木造の建物は、燃焼すると非常に高い温度の放射熱を出すという。今回の火災では、熱中症で搬送される消防隊員もおり、現場に出向いた島袋弘樹局長は「正殿前で消火活動していた隊員はいったん退かざるを得なかった」と述べた。
 関係者によると、正殿から発した放射熱は、高温のエネルギーで隣接する北殿、南殿に伝わり延焼。北東から吹いた風も延焼拡大の一因となった。火災に気付いた警備員が使用した消火器では歯が立たず、島袋局長は「屋内外に設置された消火栓や放水銃を使っても対応できなかったのではないか」と指摘した。(2019/11/01-11:59)

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