政権奪還へ受け皿づくり 国民民主党の前原誠司元外相―与野党論客に問う

2019.11.18
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by 時事通信

インタビューに答える国民民主党の前原誠司元外相=13日、東京・永田町

インタビューに答える国民民主党の前原誠司元外相=13日、東京・永田町

 ―首相の通算在職日数が史上最長に。
 理由は二つ。1次政権の反省に立って改良を加えたことと、旧民主党政権に期待した人の「結局ダメだった」という失望感が今も続くことだ。
 ―政権の評価は。
 マネジメントはうまい。党重鎮を主要ポストに据えて挙党態勢を構築し、派閥バランスを取って安定した内閣をつくった。2年に1回くらい選挙をして相手を疲弊させ、結果的に安倍一強体制となった。
 ―政策面では。
 世界経済の好調さと異次元の金融緩和でよく見せているが、実質賃金は下がり格差が拡大している。国の借金は膨れ上がり、地方の疲弊は止まらない。根本問題は解決せずに先送りし、どんどん日本の体力が弱っている。憲法改正は現実に何をしたいか見えない。
 ―外交の評価は。
 長いことによる安定感はある。トランプ米大統領と良いマネジメントができている面は一定の評価はできる。だが、外交課題の解決では、期待だけ先行し日本の立場を毀損(きそん)した。北方領土交渉は2島返還にハードルを下げたが成果を得ていない。(北朝鮮による)拉致問題は一人も帰ってこない。
 ―不祥事があっても支持率が下がらない。
 受け皿がないからだ。安倍政権以外に任せるものが国民に見えない。
 ―立憲民主党などとの合流の是非は。
 いま、立憲と国民民主党がまとまると、立憲中心となり、先の衆院選で(国民の前身である)希望の党が得たリベラル保守の票は、日本維新の会に食われるか、投票に行かないかになる。一挙に一つになるより、リベラル保守とリベラル左派の大きな二つに分かれて選挙協力し、自公に対峙(たいじ)するのが現実的だ。
 ―ばらばらのまま政権奪還できるか。
 (衆院選で)勝てば連立を組めばいい。立憲と国民だけまとまれば、うまくいく状況ではない現実は直視すべきだ。リベラル保守は維新と、リベラル左派はれいわ新選組と協力する。そこまでウイングを広げ、それが一緒になるのは国民からは理解不能だ。
 ―消費税減税で野党共闘を目指す動きも。
 消費税を下げるとなると、ポピュリズムに訴える色彩が強くなる。財源論が必要だ。
 ―政権交代を目指す時期は。
 時間がかかる。英労働党は政権奪還に18年かかった。旧民主党は政権に対する執着心があまりにも欠けていた。もう一度われわれが自民党とは違う政権を担う執念が一番大事だ。
 ―今後の戦略は。
 共同会派を組んだ後の戦略が見えない。いまの立憲、国民両執行部にはそれがない。リーダーは動かないとダメだ。今のままでは政局は与党中心になる。年内に何かの流れをつくるかどうかだ。(2019/11/18-10:58)

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