襲撃警戒、常にルート変更 死亡の中村医師ら―妻ら6日にも現地へ・アフガン銃撃

2019.12.05
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by 時事通信

アフガニスタンで銃撃された医師の中村哲さんが乗っていた車(AFP時事)

アフガニスタンで銃撃された医師の中村哲さんが乗っていた車(AFP時事)

 アフガニスタン東部で復興支援を続けてきたNGO「ペシャワール会」現地代表の中村哲医師(73)ら6人が銃撃を受け殺害された事件で、中村さんらは移動する際、常にルートを変更し、待ち伏せなどによる襲撃を警戒していたことが5日、同会への取材で分かった。現地の治安当局が襲撃犯の特定を進めている。
 中村さんの遺体は首都カブール市内に安置され、中村さんの妻や同会スタッフら計5人が日本に搬送するため、6日にも現地に向けて出発する。司法解剖は現地で既に実施されたが、福岡県警も遺体が到着次第、検視や解剖を行うとみられる。
 同会事務局(福岡市)によると、1984年からパキスタン北西部で医療支援を始め、アフガンへは89年に進出。その後、同国内に診療所を開設するなど活動を本格化させ、農業支援も展開した。
 それまで中村さんらは特段の警戒をしていなかったが、2001年の米同時多発テロで治安情勢が悪化したため、移動を宿舎と作業現場に限るなどしていた。08年にスタッフ伊藤和也さん=当時(31)=が拉致、殺害された事件後は、現地政府側から護衛を付けるよう義務付けられ、中村さんらも常に移動ルートを変えて用心していたという。
 同会の福元満治理事(71)は「移動中が一番危ないと認識していたので、同じ道は通らないようにしていた」と明かす。「中村さんを狙ったものかはうかがい知ることはできない。戦乱と干ばつが続いているので何が起きようとも覚悟していたが、無念で仕方がない」と語った。
 中村さんらは現地時間の4日朝、東部ナンガルハル州のジャララバードから用水路工事現場に向かう車中で銃撃を受けた。(2019/12/05-13:36)

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