安倍首相、「得意」外交で反転攻勢図る 次期国会まで日程相次ぐ

2019.12.12
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by 時事通信

 臨時国会が閉幕し、首相は来年1月召集の通常国会まで、インド訪問や日中韓首脳会談などの首脳外交に全力を挙げる。首相主催の「桜を見る会」をめぐる問題が次々と明るみに出て劣勢に立たされた首相は、「得意」の外交をアピールし、立て直しを図りたい考えだ。
 官房長官は11日の記者会見で、首相が23~25日に日中韓首脳会談に出席するため訪中すると発表。「3カ国の現状と将来について議論し、北朝鮮を含む地域国際情勢に関する課題での連携を確認する」と強調した。中国の習近平国家主席、韓国の文在寅大統領との個別会談も調整。日韓首脳の正式会談が実現すれば2018年9月以来となる。
 15~17日にはインドを訪れ、モディ首相と会談する。自衛隊とインド軍が食料や弾薬を相互に融通し合うための物品役務相互提供協定(ACSA)の合意を目指す。
 首相は、米国の核合意離脱により緊張が高まる中東情勢にも関与。イランのロウハニ大統領の19日の来日と、首相自身の1月中旬の中東訪問をそれぞれ調整している。首相は9日の記者会見で「米国と同盟関係があり、イランと長年良好な関係を維持してきた日本ならではのかじ取りが国際社会からも求められている」と述べた。
 しかし、いずれも成果を挙げられるかは不透明だ。
 中国の習主席の来春の国賓来日に対しては、香港デモなどを踏まえ、自民党内から異論が出ている。戦後最悪と言われるまで冷え込んだ日韓関係は、の失効を回避し、改善を探る動きも出ているが、懸案の元徴用工問題で隔たりは大きいままだ。
 イラン情勢の打開も容易でない。首相は、準備を進める自衛隊の中東派遣についてロウハニ師に直接説明して理解を求める考えだが、派遣に対する懸念は内外で根強い。日印ACSAも合意のめどが立っているわけではない。
 首相が一連の外交を足掛かりに、通常国会に向けて反転攻勢に出られるかは見通せない。(2019/12/12-07:14)

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