日印物品協定、実質合意へ 「準同盟」視野に連携強化―安倍首相がインド訪問

2019.12.13
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by 時事通信

 安倍晋三首相は15~17日の日程でインドを訪問する。16日に北東部の都市グワハティでモディ首相と首脳会談を行い、自衛隊とインド軍の間で食料や弾薬を融通する物品役務相互提供協定(ACSA)について、実質合意する見通しだ。安全保障面での連携を強化し、「準同盟」関係を構築することで、台頭する中国をけん制する狙いがある。
 日印ACSAをめぐっては、11月に初の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が開かれた。合意に至れば、日本にとって米国、英国、フランスなどに続き6カ国目となる。日印は戦闘機訓練も調整するなど、安保協力の範囲を拡大させており、ACSA締結でさらに関係を強めたい考えだ。
 インドをオーストラリアに続く「準同盟国」に格上げしたいのは、インドが日本と中東などを結ぶシーレーン(海上交通路)のほぼ中央に位置するからだ。「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に欠かせない地政学上の要衝で、民主主義などの価値観を共有するインドとの絆を深め、中国に対抗していく戦略を描く。
 ただ、インドは伝統的に「非同盟、多極主義外交」を掲げており、中国を過度に刺激するような日印の接近には慎重とみられる。インド側の立場にも配慮しつつ、安保協力の実効性を高めるのが安倍外交の課題となる。
 インドは約13億人の人口を抱え、将来の経済成長を見越し欧米なども関係強化を図っている。日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)各国などが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)では、中国からの輸入増を警戒し、インドは交渉離脱に言及した。中国の影響力を抑えるためにも、日本はインドを含むRCEPを構想しており、安倍首相はモディ首相に翻意を促す考えだ。(2019/12/13-08:22)

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