コロナ乗じる中国警戒 北朝鮮核ミサイル「日本射程」―防衛白書

2020.07.14
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by 時事通信

 防衛相は14日の閣議で2020年版防衛白書を報告した。中国が世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を契機に自らに有利な国際秩序の形成、政治・経済面の利益拡大を図っていると指摘。「重大な関心を持って注視」すると警戒感をあらわにした。
 白書はコロナ禍が各国の軍事活動にも影響を及ぼしており、「国家間の戦略的競争を顕在化させ得る」と分析した。とりわけ中国が「感染拡大に伴う社会不安や混乱を契機とし、偽情報の流布を含む宣伝工作も行っている」と明らかにした。
 また、沖縄県・尖閣諸島周辺では中国公船が領海侵入を繰り返し、機関砲とみられる武器も搭載していると指摘。中国公船が日本漁船を追尾する事案も発生し、「力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗(しつよう)に継続している」と表現を強めて批判した。
 北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐっては、日本を射程に収める核搭載の弾道ミサイルを「既に保有しているとみられる」と明記。飽和攻撃のための連続発射能力、兆候を探知しづらい潜水艦や移動式発射台からの発射など「攻撃態様の複雑化・多様化を執拗に追求」し、日本や関係国の新たな課題になっていると懸念を示した。
 韓国に関しては、最近の関係冷却化を反映し、昨年版白書で「幅広い防衛協力を進め、連携の基盤確立に努める」とした記述を削除した。(2020/07/14-10:30)

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