米軍駐留経費協議、秋以降に 政府、大統領選動向を注視

2020.08.13
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by 時事通信

 政府は、2021年度から5年間の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を決める米国との協議について、今秋以降に本格化させる方針だ。先行している米韓両国の在韓米軍駐留経費交渉が決着していないことに加え、各同盟国に負担増を求めるトランプ大統領の再選が懸かる大統領選が11月に控えているためだ。
 米側との協議に関し、日本外務省幹部は「大統領選の結果が出るまで動く必要はないというのが、今の政府内の雰囲気だ」と説明する。
 米大統領選は、民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領が各種世論調査でトランプ氏をリードし、結果は予断を許さない状況だ。日本政府関係者は「バイデン氏はトランプ氏よりも日本などとの同盟関係を重視する立場だ」と分析。米側との話し合いを急ぐ必要はないとの認識を示す。
 実際、トランプ氏は17年の大統領就任以降、一貫して同盟国に「負担増」を求めてきた。ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)は6月に出版した回想録で、昨年7月に自身が来日した際に、新たな駐留経費について現在の4倍以上に当たる年80億ドル(約8500億円)の負担を求めたと暴露した。
 だが、日本政府は「正式な交渉での発言ではない」(関係者)としており、そもそも米側の条件提示とは見なしていない。日本としては、目に見える成果を焦るトランプ政権と同じ土俵に乗らず、大統領選の結果判明まで時間を稼いで風向きが変わるのを待つ構えだ。
 昨秋始まった在韓米軍の駐留経費交渉でも、米側は大幅な負担増を要求している。米側は韓国に圧力をかけるため、在韓米軍削減に向けた複数の選択肢を提示したとされ、韓国側は反発し交渉は難航。米側の交渉担当者は日本との協議も担うため、外務省関係者は「米韓の交渉がまとまらない限り、米国は日本側と協議を始めることすらできない」とけん制する。(2020/08/13-07:06)

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