茂木氏、手堅い外交手腕で存在感 「ポスト安倍」へ派内融和が鍵

2020.08.15
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by 時事通信


外遊先のシンガポールからオンラインで取材に応じる茂木敏充外相=13日(外務省提供)

外遊先のシンガポールからオンラインで取材に応じる茂木敏充外相=13日(外務省提供)

 自民党の「ポスト安倍」候補として、外相の存在感が増しつつある。外交分野でも持ち前の政策遂行力や交渉力を発揮。手堅い仕事ぶりに、首相ら政権幹部の信頼は厚い。ただ、茂木氏が会長代行を務める竹下派は、次期総裁選をめぐり「一枚岩」とは言い難い。派内融和が今後の鍵を握りそうだ。
 「行動制限もあったが、その分の成果もあった」。茂木氏は13日、訪問先のシンガポールでバラクリシュナン外相と会談し、新型コロナウイルス感染拡大の影響で停滞するビジネス目的の往来再開を確認。その後、オンライン形式で記者団の取材に応じ、コロナ禍の中で今月から解禁した「対面外交」の意義を強調した。
 茂木氏は昨年、経済再生担当相として日米貿易協定の交渉に臨むと、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と渡り合い、評価を高めた。外相就任後は、新型コロナ対応をめぐり、在外邦人の帰国支援に奔走したほか、入国制限緩和に向けた協議を推進。首相は「ポスト安倍」候補の一人として、茂木氏の名前も挙げる。
 次期総裁選について、茂木氏自身は「外相の仕事に集中したい」と明言を避けるが、その言動には変化が見えるという。かつては周囲に求める仕事の厳しさから、批判的な声も多かったが、最近は「性格がマイルドになった」(外務省関係者)と評判だ。
 他派閥との連携も意識する。先月31日には、麻生派会長の副総理兼財務相と東京都内の日本料理店で会食。党関係者によると、麻生氏は総裁候補として「茂木氏を高く評価している」という。
 一方、茂木氏にとって次期総裁選に向け、最大の課題は身内である竹下派内の掌握だ。
 2018年の総裁選で同派は対応が割れた。首相支持を主導した茂木氏に対し、元幹事長を推したのは派内に今なお影響力を持つ青木幹雄元参院議員会長。党参院幹部によると、両者間のしこりは残ったままで、現在も疎遠な関係が続いているという。
 同派では厚生労働相も「ポスト安倍」候補に取り沙汰される。将来の独自候補として、元経済産業相に期待する声も根強い。派閥幹部は「茂木氏が総裁選に出馬すれば、派内の対応は必ず割れる」と危惧する。
 「青木氏との関係を変えるには、茂木氏本人が頭を下げるなりして理解を求めるしかない」。茂木氏に近い同派中堅はこう指摘した。(2020/08/15-07:18)

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