検察庁法改正案、来年再提出 政府検討、特例規定の扱い焦点

2020.09.23
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by 時事通信

 政府は、検察官の定年規定を改める検察庁法改正案について、来年1月召集の通常国会に再提出する方向で検討に入った。安倍政権下の先の通常国会で廃案となったが、改めて成立を目指す。SNSなどで批判の上がった「幹部の定年延長」を特例で認める規定の扱いが焦点となる。
 法相は16日の就任後初の記者会見で、改正案に関し「さまざまな意見を踏まえながら、関係省庁とも十分に協議した上で、再提出に向けて検討を進めたい」と述べた。
 改正案は検事総長を除く検察官の定年を現行の63歳から65歳に段階的に引き上げる内容。検事総長の定年は65歳のまま据え置く。一方、63歳に達すれば幹部から退く「役職定年」を設けた。
 問題となったのはこの役職定年。内閣が認めれば引き続き幹部ポストにとどまれるとする特例規定が盛り込まれていたからだ。特例を適用すれば時の政権が検察幹部を恣意(しい)的に登用し続けることも可能となる。
 安倍政権では黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年が閣議決定により唐突に半年延長された。黒川氏は官房長官だった首相に近く、延長は黒川氏を検事総長に昇格させる布石との見方も出ていた。
 こうした中、黒川氏の定年延長を事後的に特例で認めるかのような検察庁法改正案が提出され、SNSを含め反対の世論が拡大。最終的に安倍政権は成立を断念し、改正案は廃案となった経緯がある。
 法務省関係者は「再提出の中身が全く同じ内容では同じ結果になる」と語り、特例の削除は避けられないとの考えをにじませる。ただ、与党との調整はこれから。野党は次期衆院選をにらみ対決姿勢を示しており、政府・与党は世論の風向きを見極めながら慎重に検討を進めるとみられる。(2020/09/23-07:10)

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