18・19歳厳罰化 少年法適用年齢、判断せず―法制審

2020.10.29
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by 時事通信


法制審議会の内田貴会長(右)から答申を受け取る上川陽子法相=29日午後、法務省

法制審議会の内田貴会長(右)から答申を受け取る上川陽子法相=29日午後、法務省

 少年法の見直しを議論してきた法制審議会(法相の諮問機関)は29日、罪を犯した18、19歳について、家庭裁判所から検察官送致(逆送)する対象事件を拡大することなどを盛り込んだ要綱を上川陽子法相に答申した。起訴された場合、20歳以上と同様の処分手続きとすることで、一定の厳罰化を図る。
 改正民法が2022年に施行されると、18、19歳は成人として扱われる。少年法は20歳未満を対象としており、法制審では17年以降、同法の適用年齢を引き下げるかどうか議論してきた。
 自民、公明両党は今年7月、少年法の適用年齢を現行の20歳未満のままとすることで合意。法務省は答申と与党合意を踏まえ、少年法などの改正に着手し、早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。
 答申は、18、19歳の刑事事件について全件を家裁に送致することとし、現行の少年法の枠組みは維持した。その一方で、原則逆送の対象事件を法定刑の下限が1年以上の懲役や禁錮になる罪に拡大。強盗や強制性交、放火などの罪も対象になる。
 少年事件では、罪を犯した少年の実名報道は禁止されているが、18、19歳については、起訴された段階で可能とする。
 答申は18、19歳について「いまだ十分に成熟しておらず、成長発達途上にある」として、「18歳未満とも20歳以上とも異なる扱いをすべきだ」と指摘した。その上で18、19歳の位置付けや呼称については「国民意識や社会通念を踏まえることが求められる」と判断を避け、「今後の立法プロセスに委ねるのが相当」とした。
 答申では、素行不良などで将来犯罪を起こす可能性があるとして家裁の審判にかける「虞犯(ぐはん)」については、18、19歳は対象から外すことにした。(2020/10/29-20:36)

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