消滅防げ、炭鉱の古関メロディー 失われた譜面、つのださん再現―6日、お披露目

2020.10.31
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by 時事通信


古関裕而の曲の再譜面化に向けて合唱する常磐炭礦の元従業員=25日、福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズ(常磐興産提供)

古関裕而の曲の再譜面化に向けて合唱する常磐炭礦の元従業員=25日、福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズ(常磐興産提供)

  • 常磐炭礦が出場した都市対抗野球の応援風景。古関裕而作曲の応援歌などが歌われたとみられる=1961年、東京都文京区の後楽園球場(当時)(NPO法人常磐炭田史研究会提供)
  • 都市対抗野球に出場した常磐炭礦チームを応援するフラガールら=1970年、東京都文京区の後楽園球場(当時)(NPO法人常磐炭田史研究会提供)

 福島市出身の古関裕而が作曲したものの楽譜が失われ、関係者のみで歌い継がれてきた、常磐炭礦(現常磐興産、本社・福島県いわき市)の礦歌(社歌)と、都市対抗野球で活躍した同社野球部の応援歌が、同県生まれのミュージシャンつのだ☆ひろさん(71)の手で再譜面化され、伴奏の録音が行われた。11月5、6両日に東京・羽田で開催される全国の信用金庫による中小企業支援イベント「よい仕事おこしフェア」のフィナーレでつのださんが伴奏に合わせて歌い、披露される。
 曲名は礦歌「我等の力」と応援歌「若きいのち」。原譜はいわき市内の同社事務所で保管されていたが、1960年代半ばに火災で失われ、楽譜が存在しないまま歌い継がれた。71年の野球部解散や85年の炭鉱事業完全廃止後も、OB、OGの集まりで歌われてきたが、プロが作成した譜面がない上、メンバーが高齢化していた。
 同フェア実行委員会は、東日本大震災からの復興支援の意味もあって古関が作曲した校歌、社歌を全国から収集している。その中で最近、常磐炭礦関係の2曲が古関作と分かり、事務局を務める城南信用金庫の川本恭治理事長が、つのださんに譜面化とフェアでの歌の披露を依頼。承諾したつのださんの要請で、OB、OGが急きょ合唱を録画して送り、作業に協力した。
 常磐興産は、石炭産業の衰退が顕著だった66年、「日本初のテーマパーク」とも言われるレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」(現スパリゾートハワイアンズ)を開設して旧炭鉱職員の雇用を確保。その後の紆余(うよ)曲折を経て東日本大震災も乗り越えたが、新型コロナウイルスによる経営悪化で、76年の歴史を持つ「東京本社」は年度内に廃止される。プロジェクトを担当する同本社の泉達也さん(41)は「この時期に本当にありがたいことです」と話した。(2020/10/31-13:12)

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