首相訪米、春にずれ込みか 対中・対北朝鮮戦略を注視

2021.01.21
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by 時事通信

 首相は、20日(日本時間21日未明)に発足する米新政権との関係構築を急ぐ。覇権主義的な動きを強める中国をにらみ、日米同盟の強化を図る。核・ミサイル開発を進める対北朝鮮政策でも足並みをそろえたい考えだ。バイデン新大統領との初会談のため早期訪米を目指すが、米国内事情もあり、春以降にずれ込む可能性も出てきた。
 首相は18日ので「早い時期にお会いし、日米の結束をさらに強固にする」と表明。新型コロナウイルス対応や気候変動など、共に直面する課題での協力強化に意欲を示した。
 訪米について首相は昨年12月、「できれば2月中」と言及したが、バイデン氏は議会襲撃後の混乱やコロナ感染拡大など内政問題への対処に追われるとみられ、日本政府関係者は「4月以降ではないか」と指摘。首相は就任式後、速やかにバイデン氏と電話会談を行うことで調整しており、続けて外相ら高官を派遣する考えだ。
 日本政府の最大の関心事は、新政権の対中政策だ。新型コロナの打撃からいち早く復調しつつある中国は「ワクチン外交」などを通じ影響力を拡大。一方、沖縄県・尖閣諸島周辺では公船による日本領海侵入を常態化させ、首相官邸は「不測の事態」(幹部)を警戒している。
 国務長官に指名されたブリンケン氏ら主要閣僚候補が同盟国重視の姿勢を示していることを、日本側は歓迎。知日派のキャンベル元国務次官補が国家安全保障会議(NSC)でアジア政策を統括する新設ポストに就くことも安心材料と受け止めている。ただ、中国との経済関係を重視する立場から、米中対立が先鋭化して共同歩調を求められる事態は望んでおらず、難しい対応を迫られる場面も予想される。
 一方、バイデン氏の対北朝鮮政策は見通せていない。北朝鮮は年明けに核兵器や新型ミサイル開発を宣言し、脅威は高まっている。国連安保理による制裁の維持や、拉致問題進展に向けた協力を得られるかが課題となる。
 在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)交渉も、懸案の一つだ。米政府が日本を含む同盟国に負担増を求める構図は変わらないとみられ、外務省関係者は「防衛予算増を求められるのではないか」と身構える。日本は宇宙やサイバー、電磁波など新領域での協力拡大を通じて米側の理解を得たい考えだ。(2021/01/21-07:12)

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