日米、脱炭素で連携へ TPP早期復帰見通せず―米新政権

2021.01.21
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by 時事通信

 米国のバイデン新大統領は地球温暖化対策を政権運営の重点課題に掲げており、日本側は「脱炭素」を経済政策での日米連携の柱と位置付ける考えだ。一方、バイデン氏は国内雇用や議会対策を当面優先するとみられ、トランプ政権が離脱した環太平洋連携協定(TPP)への早期復帰は見通せない。為替政策をめぐる新政権の動向も焦点だ。
 バイデン氏は就任100日以内に二酸化炭素(CO2)の主要排出国による首脳会議(サミット)を開き、各国に温暖化対策に取り組むよう呼び掛ける構え。日本は、CO2の排出量が多い石炭火力発電への依存や輸出などについて説明を求められる可能性がある。
 両国は既にCO2を燃料などに再利用する技術を共同研究している。日米首脳会談では協力分野の拡大も議題となりそうだ。
 一方、バイデン氏は新型コロナウイルス感染拡大で傷んだ自国経済の立て直しを重視し、労働組合などの反発が強い貿易自由化に慎重な姿勢を取る公算が大きい。みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は「TPP復帰も日米貿易協定の再交渉も、しばらくは動かないだろう」と指摘する。
 為替政策をめぐり、米国第一主義を掲げたトランプ政権はドル高をけん制する発言を繰り返した。これに対し、バイデン氏が財務長官に指名したイエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長は「(為替)相場は市場で決まるべきだ」と、輸出での優位を狙った人為的な相場誘導に反対の立場だ。
 とはいえ、米国の製造業再生を選挙公約に掲げた新政権にとって、「過度な円安・ドル高は懸念材料」(経済官庁幹部)と指摘されている。(2021/01/21-07:11)

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