運行会社社長を在宅起訴 業過致死傷罪、管理者も―15人死亡バス事故・長野地検

2021.01.21
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by 時事通信

 長野県軽井沢町で2016年、スキーツアーバスが道路下に転落し大学生ら15人が死亡した事故で、長野地検は21日、業務上過失致死傷罪で運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)の高橋美作社長(59)=同市=と運行管理者だった荒井強元社員(52)=東京都青梅市=を在宅起訴した。
 多くの若者の命を奪った事故発生から5年。刑事責任追及の舞台は法廷へと移った。地検はいずれも認否を明らかにしていない。事故を起こして死亡し、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で書類送検された運転手=当時(65)=については不起訴とした。
 起訴状によると、高橋社長らは運転手が大型バスの運転に不慣れで、夜間に冬季の峠道を長時間運転すれば死傷事故を起こす可能性があるのを予見できたのに、必要な訓練などを実施せずに運転業務に従事させ、事故を起こしたとされる。
 関係者によると、運転手が事故を起こしたのは入社半月後で、採用面接で「大型バスは苦手」などと話していたという。
 県警は17年6月、高橋社長らを書類送検していた。地検幹部は「捜査を尽くした。公判で立証し、刑罰権を適切に行使できるよう努めたい」と話した。
 イーエスピーは「長野地検から正式な知らせが来ていないので、コメントは差し控える」としている。
 事故は16年1月15日未明に発生。下りカーブでガードレールを突き破ったバスが崖下に転落し、大学生13人と運転手ら計15人が死亡、計26人が重軽傷を負った。当時、時速96キロまで加速していたという。
 国土交通省委託の事業用自動車事故調査委員会は17年7月、「(運転手は)大型バスの運転について少なくとも5年程度のブランクがあった」などとする調査報告書を公表。「十分な指導、教育や運転技能を確認することなく運行を任せたことが事故につながった」と指摘していた。(2021/01/21-17:10)

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