3号機プール核燃料搬出完了 炉心溶融の建屋で初―2年で566体・福島第1
東京電力は28日、福島第1原発3号機の使用済み燃料プールから核燃料計566体を搬出する作業を完了したと発表した。炉心溶融(メルトダウン)を起こした1~3号機のうち、燃料の取り出しが終わるのは初めて。2019年4月に始め、トラブルもあったが、今年3月末までの目標期限内に達成した。
遠隔で機械を操作し、専用容器に収納した最後の6体を、28日に敷地内の共用プールと呼ばれる貯蔵施設に移送した。建屋上部を覆う大型カバーを設置し、作業中に放射性物質が拡散しないようにした。
3号機の燃料搬出は14年末にも開始する予定だったが、建屋の水素爆発によるがれきの撤去が難航し、延期を重ねた。着手してからも、機械の不具合で作業の中断を強いられたほか、燃料をつかむハンドル部の変形への対策に時間をかけた。
使用済み燃料プールからの核燃料搬出は、14年12月に4号機の1533体が完了。建屋上部にがれきなどが散乱している1号機、建屋内の放射線量が特に高い2号機を含め、東電は31年末までに全ての取り出しを目指している。
東電は「準備を積み重ね、予定した作業を安全に終えることができた。教訓や知見を1、2号機の燃料取り出しにも生かしたい」とコメントした。(2021/02/28-23:30)