谷脇総務審議官を更迭 NTTからも高額接待―検証委で影響調査・総務省
武田良太総務相は8日、放送関連会社「東北新社」やNTTの澤田純社長ら利害関係者から繰り返し高額な接待を受けていたとして、事務方ナンバー2の谷脇康彦総務審議官を同日付で官房付に異動させたと発表した。事実上の更迭とみられる。武田氏は記者会見で「責任のあるポストの人間が行政に対する信頼を失墜させる行為に至ったことは看過できない」と述べた。
総務省は同日、NTT接待問題に関する調査の中間報告を発表した。谷脇氏や巻口英司国際戦略局長が受けた接待は国家公務員倫理規程に違反する疑いが強いと判断。NTT以外からの接待や、他に接待を受けた職員の有無をさらに調べた上で処分を行う。谷脇氏の後任の総務審議官は当面空席とする。
菅義偉首相は同日午前の参院予算委員会で、立憲民主党の木戸口英司氏が武田氏の更迭を求めたのに対し、「真相を究明し、総務省を立て直してほしい」と拒否した。
野党は、通信・放送行政に携わる幹部への接待が「常態化していた」と批判。総務省は、許認可などへの影響がなかったかについては、第三者を入れた検証委員会を設置し、調査に乗り出す方針だ。
同省によると、NTT側との会食は、谷脇氏が2018~20年の3回で費用は総額約10万7000円。20年7月の会食には、当時、外務審議官だった金杉憲治駐インドネシア大使も参加した。巻口氏は20年6月の1回で、土産代を含め約5万1000円。当時、総務審議官だった山田真貴子前内閣広報官も同席していた。
場所はいずれも東京都内にあるNTT関連の会員制高級レストラン。谷脇氏は5000円を1回、巻口氏は1万円を負担しただけで、残りはNTT側が支払っていた。2人は「情報通信一般や国際情勢について意見交換した」と説明しているという。(2021/03/08-16:23)