事故の記憶「風化させない」 遺族や市民、冥福祈る―明石歩道橋事故20年・兵庫

2021.07.21
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by 時事通信


歩道橋事故から20年となり、現場で献花し手を合わせる、遺族の(右から)下村誠治さんと三木清さん=21日夜、兵庫県明石市

歩道橋事故から20年となり、現場で献花し手を合わせる、遺族の(右から)下村誠治さんと三木清さん=21日夜、兵庫県明石市

  • 明石歩道橋事故から20年を迎え、取材に応じる遺族の下村誠治さん=21日夜、兵庫県明石市

 兵庫県明石市の歩道橋で2001年7月、花火大会の見物客らが転倒し、11人が犠牲となった事故は21日、発生から20年となった。現場の歩道橋には遺族や市民らが訪れ、慰霊碑の前で静かに手を合わせた。
 事故が起きた午後8時45分ごろ、遺族3人が献花。市民合唱団のメンバー約15人が追悼曲を歌った。
 三木清さん(52)は、亡くなった次女優衣菜さん=当時(8)=が好きだった自宅の畑のヒマワリを持参し、「また来たで」と呼び掛けた。「ここに来ると悔しかったことなどいっぱい思い出すけど、手を合わせることで事故の風化を防ぐことができれば」と話した。
 次男智仁ちゃん=同(2)=を亡くした下村誠治さん(63)も、年月の経過による風化を懸念。「次の被害者を生まないためにも伝え続けたい。亡くなった子供に顔向けできることをしたい」と前を向いた。
 泉房穂市長は当時、歩道橋の真下に居合わせたという。献花を終え、「こんなことが本当にあるのかという光景だった。遺族に終わりがないように、行政の責任にも終わりはない」と語った。
 市は同日午前、歩道橋で新人職員研修を実施。下村さんの話に約20人が耳を傾けた。事故後に入庁した職員が今年初めて半数を超え、全職員対象の研修も行った。
 事故は市主催の花火大会で発生。会場とJR朝霧駅を結ぶ歩道橋に多数の見物客が集中して群衆雪崩が起き、子供ら11人が死亡、247人が負傷した。警備を担当した元県警明石署地域官や市幹部ら5人が業務上過失致死罪で有罪となった。(2021/07/21-23:06)

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