想像超える拡大に危機感 「五輪で緩み」指摘も―東京都

2021.07.28
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by 時事通信


退庁時、記者団の取材に応じる東京都の小池百合子知事=28日午後、都庁

退庁時、記者団の取材に応じる東京都の小池百合子知事=28日午後、都庁

 東京都の新型コロナウイルス感染者が28日、2日連続で過去最多を更新し、3177人を記録した。これまでピークだった1月の「第3波」より死者や重症者が少ないことから、小池百合子知事や都幹部は「中身が違う」などと都民らの不安解消に躍起だ。しかし、緊急事態宣言発令から2週間たっても感染拡大が続く現状に危機感も募らせており、「東京五輪が気の緩みにつながってる」との指摘が出ている。
 「いたずらに不安をあおらないでほしい」。都福祉保健局の吉村憲彦局長は、新規感染者が2848人となった27日、報道各社に異例の呼び掛けを行った。ワクチン接種による高齢の重症者の減少や病床拡充を挙げ、「第3波とは本質的に異なる」と語った。一方で「今週大きな数字が出ると覚悟していたが、2500人を超えるとは想像できなかった」と厳しい表情を見せた。
 翌28日、局長の発言について記者団から問われた小池氏は「今は陽性者数だけの問題ではない。ワクチンがあるかないかの違いはしっかり伝えてほしいという趣旨だと思う」と述べた。ただ感染力が強いインド由来の変異株が拡大する中、今後の接種の進展は不透明だ。都内では、停止を求められている酒類提供を続ける飲食店や、路上飲みも多数見られる。
 熱戦が続く五輪の影響を懸念する声もある。ある幹部は、人出が大きく減らない現状に「五輪をやっていることが、外出自粛とは逆のメッセージに受け取られている」と指摘。「今、仮に対策を強化しても反感を買うだけだ」と頭を抱える。
 手詰まり感が漂う中、小池氏は26日から3日連続で感染者数の発表前に退庁。28日は「ぜひ不要不急の外出を控えてください」と記者団に言い残し、都庁を後にした。(2021/07/28-20:34)

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