自民総裁選、決選投票濃厚に 議員票重み、逆転も

2021.09.23
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by 時事通信


日本記者クラブ主催の自民党総裁選討論会を前に、記念撮影をする(左から)河野太郎規制改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行=18日、東京都千代田区

日本記者クラブ主催の自民党総裁選討論会を前に、記念撮影をする(左から)河野太郎規制改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行=18日、東京都千代田区

  • 【図解】決選投票のイメージ

 自民党総裁選(29日投開票)は、4候補で争う1回目の投票では決まらず、上位2人による決選投票にもつれ込むとの見方が強まってきた。決選投票は国会議員票の比重が大きく、陣営間の合従連衡が勝敗を左右する。ただ、党員票の多数を得た候補を議員投票で逆転すれば「衆院選でしっぺ返しを食らう」(若手議員)との懸念も漏れる。
 総裁選は382人の議員票と、4候補が得た党員票を得票率に応じ比例配分する382票の計764票で争う。過半数を得た候補がいなかった場合は決選投票となり、382の議員票と、都道府県連ごとに得票最多の候補が1票を得る47票の計429票で勝負を決する。
 規制改革担当相(58)は党員人気で他候補を引き離し、所属する麻生派(53人)の約半数や選挙基盤の弱い派閥横断の中堅・若手を中心に支持を得る。河野氏は22日、記者団に「1回目で勝てるよう頑張る」と強調。陣営は「衆院選で民意の支持がなくていいのか」と、世論受けのいい「選挙の顔」を望む議員心理に訴えている。
 ただ、決選投票となれば、河野氏には不利との見方がもっぱらだ。政府・与党の従来方針に反する年金や原発政策を掲げていることや、根回しを軽視する政治手法に根強い反発があるためだ。議員票を呼び込むため、陣営の閣僚経験者は「党員票で6割を取りたい」と語った。
 前政調会長(64)は、自身が率いる岸田派(46人)のほか、最大派閥の細田派(96人)と第2派閥・麻生派のベテランが主な支持基盤だ。決選投票に残り、前総務相(60)の陣営との「2位―3位連合」による逆転を想定する。
 だが、高市氏の予想外の猛追に、岸田氏陣営は危機感を募らせる。てこ入れのため、1人当たり最低5議員に呼び掛けることを確認した。岸田氏ではなく高市氏が決選投票に残った場合は、「高市氏には乗れない」「政策的には河野氏の方が近い」との声が陣営には少なくない。
 高市氏は細田派出身の前首相から全面支援を受け、保守系議員らに浸透。党員の反応も悪くないことから、陣営幹部は「かなりの手応えだ」と語る。ただ、高市氏が2位に入るとタカ派色を敬遠して他陣営が河野氏に流れるとの見方もあり、勝算は立っていない。幹事長代行(61)は一定の知名度を背景に、多様性を訴えて支持拡大を急ぐ。
 岸田派を除き事実上の自主投票で臨む6派閥でも、閣僚・党役員人事を見据え、決選投票では「結束すべきだ」との声が高まる。旧竹下派(51人)や二階派(47人)などは投票日までに対応を協議する予定だ。
 ◇おことわり
 自民党竹下派の竹下亘会長が死去したことを踏まえ、今後は同派の呼称を「旧竹下派」とします。(2021/09/23-07:09)

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